【記者座談会〈1〉】羽生結弦の2月18日五輪練習が忘れられない

晴れやかな笑顔、静かな涙-。フィギュアスケートの2021-22年シーズンも、世界中の選手の演技が見る人の胸を打ちました。今季、現場で取材を重ねてきた担当記者の木下淳(41)阿部健吾(40)松本航(31)による座談会。北京オリンピック(五輪)の羽生結弦選手を振り返ります。全4回の第1回。

フィギュア

<フィギュアスケート2021-22年シーズンを振り返る:その1>

座談会参加記者の紹介

◆木下淳 04年入社。大学時代、村主章枝さんと同じ授業を受けた際にフィギュアを知る。文化社会部、東北総局、整理部をへてスポーツ部。サッカーでリオ五輪とW杯ロシア大会、一般班で夏は東京五輪組織委と柔道、冬は北京五輪を取材。

◆阿部健吾 08年入社以来、スポーツ部一筋。フィギュアは12年からで、20年から再び。北京大会でオリンピックは4大会目で、担当競技を持たずに横断的に取材、かつホテルで簡易調理器具で“料理担当”。4月からは企画担当など。

◆松本航 13年10月入社。19年ラグビーW杯日本大会、五輪は18年平昌、21年東京、22年北京を現地取材。体育大出身だが氷の上では膝がガクガク。好きな要素はスパイラル、ジャンプは「セカンドループ」。185センチ、100キロ。

北京五輪フィギュアスケート会場・首都体育館で。左から、松本、木下、阿部記者

北京五輪フィギュアスケート会場・首都体育館で。左から、松本、木下、阿部記者

阿部記者のライスボール

木下「久しぶりですな、3人がそろうのは。ふふふ」

松本「ほとんど一緒に行動して、スマホ片手に『Figure365』のツイッターにつぶやき続けた北京五輪が、もう2カ月以上前ですもんね…。阿部さんが握ってくれたおにぎりも懐かしい…。先輩、期間中に『知名度上昇 阿部のライスボール』っていうコラム書いていましたよね(笑い)」

阿部「あれはレイアウト担当の人がつけた見出しだよ!(笑い)。100個以上握ったかな…」

阿部記者がにぎったおにぎり

阿部記者がにぎったおにぎり

木下「起床してホテルのドアを開けると、必ず熱々のものが置いてある。他種目の担当も含め、全員分。いつも何時に起きて何回炊飯してるんだ、と(笑い)。日刊取材班の金メダリスト『スイハン阿部』と松本が命名してたな。定着しなかったな。俺は炊き込みご飯派(味の万世)。故郷の味。激うま」

松本「いや、ちらしずしの方が絶対に推せます!」

木下「いずれにしても、おにぎりしか食べられないぐらい、五輪期間中のフィギュア取材は大変だったなぁ」

阿部「演技はもちろんですけれど、すぐ隣の練習用リンクでは同時進行で公式練習も行われていて…」

木下「早朝の公式練習からカバーし、試合後の取材と出稿を終えると『あ。5時間後にまた公式練習が始まる…』とか。そのまま首都体育館に泊まりたかったくらい。ホテルの食堂も閉まっちゃうし、スイハン阿部がいなかったら倒れていたかも…あ、定着してた」

松本「……。10日に男子フリーが終わってから、20日の最終日に控えたエキシビションまでの練習は、グッとくるシーンの連続でしたよね」

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