【渡辺倫果〈3回連載/中〉】坂本花織に「やめたい」相談 小学時代に交わした濃い話
日刊スポーツ・プレミアムでは、毎週月曜日にフィギュアスケーターのルーツや支える人の思いに迫る「氷現者」をお届けしています。
シリーズ第3弾は、渡辺倫果(20=法大)を連載中です。グランプリ(GP)シリーズ第2戦スケートカナダで初出場優勝し、第5戦NHK杯も5位。最終戦フィンランド大会の結果を受け、初のファイナル(12月8~11日、イタリア・トリノ)進出を決めた新ヒロイン候補の物語です。
第2回は誕生秘話、輝きを失い悩んだノービスからジュニア時代、坂本花織(22=シスメックス)と語り合った小学生の夜、左膝の手術について。
フィギュア
小5でノービスB優勝も伸び悩み
8歳にしてダブルアクセル(2回転半)を、しかも2週間で跳んだ少女は3回転の習得も早かった。
「アクセルを跳べたので『サルコーもトーループもいいよ』って先生に許してもらって。トリプルです。小学校2年生で7級を受け始めました。あ、ループはちょっと自慢していいですか。始めたその日にできちゃったんですよ。『やってみよ』と思って跳んだら、回転不足ですけど1回目から立てて、あれ…(笑い)みたいな」
初めて練習した日に、複数回の着氷。「以来、ループは得意なのかなと思っています」。今年のNHK杯ショートプログラム(SP)ではまさかの1回転となったものの、ほぼミスがない3回転ループ。中庭健介コーチも「失敗を見たことがない」と驚いたほど精度は高い。有観客の自国大会で「緊張するところ(極限)まで緊張した」という苦い経験を糧に、翌日のフリーでは“普段通り”2本とも成功させていた。
そのループをはじめ、本格的には3回転を跳び始めたのは小学2年生の終わりからだった。
「サルコー、トーループとループ。小3にかけてフリップ、ルッツも。9歳になった夏には7級がだいたい終わっていた感じです。アクセル以外の3回転は全て」
そのまま伸び伸びと、小学校5年の時に全日本ノービス選手権Bで優勝。11歳で13年NHK杯(東京・代々木第1体育館)のエキシビションに招待された。
小さな体「壊れる」と心配され
ところが。
「そこから全然、伸びなかったんですよ」
続けて打ち明けた。
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長野県飯田市生まれ。早大4年時にアメリカンフットボールの甲子園ボウル出場。
2004年入社。文化社会部から東北総局へ赴任し、花巻東高の大谷翔平投手や甲子園3季連続準優勝の光星学院など取材。整理部をへて13年11月からスポーツ部。
サッカー班で仙台、鹿島、東京、浦和や16年リオデジャネイロ五輪、18年W杯ロシア大会の日本代表を担当。
20年1月から五輪班。夏は東京2020大会組織委員会とフェンシング、冬は羽生結弦選手ら北京五輪のフィギュアスケートを取材。
22年4月から悲願の柔道、アメフト担当も。