【低評価を覆した男たち】泣き虫阿部勇樹は必ず一番乗り、リティと1対1幸せな日課

過去もっとも、日本代表への期待感が薄かった大会ともいえた2010年のワールドカップ(W杯)南アフリカ大会。なぜこの時の日本代表は、前評判を覆し16強という結果を残すことができたのか。同大会前に代表23選手を扱った連載「奇跡に挑む者たち」を復刻掲載。彼らのルーツに、ブレイクスルーを成し遂げるヒントが隠されている。MF阿部勇樹編。(2010年5月16日紙面より 所属、年齢など当時)

サッカー

<2010南アW杯 MF阿部勇樹編>

「また、阿部が泣いちゃったよ」。市原(現千葉)育成部門のコーチたちは、苦笑いしつつ、それでも誰もが将来性を感じていた。ジュニアユースに所属していた阿部。練習後、毎日のようにコーチから呼び出され(1)ボールをしっかり止める、蹴る(2)ボールが足元にないときに動く(3)状況を見てポジションを取ると口やかましく言われた。「何で僕はできないんだ」。中学生男子が、人目もはばからず、ピッチ脇で号泣した。