【アラ還、青春のプロレス〈下〉】殺人医師に人間魚雷…そそられた「まだ見ぬ強豪」

あの頃のプロレスは「ワンダーランド」だった。スマート、スピーディーにファンを魅了する今のプロレスもおもしろいが、ネットもSNSもなく、限られた情報に胸躍らせた80~90年代。アラ還世代が、青春時代に見たマットにはデカくて、ゴツゴツしたスーパーヘビー級の怪物や“まだ見ぬ強豪”が荒れ狂っていた。「アラ還世代、青春のプロレス」後編は、胸躍らされた外国人レスラー。

プロレス

シンプルな対立構造、胡散臭さがそそられる

古舘伊知郎氏は「戦いのワンダーランド」と言った。和訳すればおとぎの国、不思議の国。さすがプロレス界唯一無二の語り部だ。

今のプロレスは、ヘビー級で日本人なら100~110キロほど。外国人も156キロのバッドラック・ファレ、119キロのジェフ・コブらを除けば、サイズはジュニアヘビー級に近い。速い。技もダイナミック、フィニッシュホールドも多彩だ。スタミナもあり、試合時間30分超も増えた。ユニット単位の抗争を軸に、ストーリー性も高まった。

複合的な要素で、プロレスの魅力「非日常感」を編み出すスタイルは、確かに昔より進化した。

昔は単純だった。戦いの中心は、日本人VS外国人。インターネット、SNSがなく、来日レスラーの情報は雑誌や、各団体が発信するものに限られた。「まだ見ぬ強豪」というあおり文句は怪しく、うさんくさくて、それがまたドキドキ感をあおった。外国人レスラーはスーパーヘビー級が多かった。

「まだ見ぬ強豪」の最たるレスラーは「地獄の墓掘り人」ローラン・ボックではなかったか。