スーパーヤンキーが世界王者に!矢吹正道マンガのような逆転人生
立て、立つんだ矢吹! ボクシングの前WBC世界ライトフライ級王者矢吹正道(29=緑)の壮絶な人生に迫った。補導歴50回超の“元ヤン世界王者”。荒れた少年時代の裏側には、家庭内での戦いがあった。
ボクシング
矢吹はダイレクトリマッチ(直接の再戦)となった3月19日、寺地拳四朗(30=BMB)との一戦に3回KO負けでベルトを失った。しかし、リングネームとした不朽のボクシングマンガ「あしたのジョー」の主人公、矢吹丈のように何度でもはい上がる。
21年9月奪取も今年3月陥落
矢吹丈も「悪童」だった。悪事に手を染め、少年院に入った。そんな「やばい」人生を激変させたのがボクシングとの出会いだ。
60年代後半から連載されたマンガの世代ではない矢吹正道だが、リングネームをあやかった背景には、自分の人生と重なり合う部分があまりにも多かった。
「おやじをどうやって殺すか。きょうだいで真剣に話し合ったこともあります」
幼少期、父親から理不尽といえる暴力を受けた。寝ている時、突然殴られた。「俺が帰ってくる時になんで寝てるんや!」。訳が分からなかった。
ボコボコに殴られた後、車のトランクに閉じ込められたこともあるという。そんな行為は自身だけでなく母親、姉、そして弟へと広がった。
耐えかねたある日、きょうだいで真剣に話し合った。極限まで追い詰められていた。本名の佐藤は母方の姓。世界王者になってからは姉を通じて、連絡もとるように関係も修復された。
ただ当時、その感情は外にはき出すしかなかった。小学校からけんかに明け暮れた。そのたびに母親は学校に呼び出された。
地元・三重県内の高校は「2年を2回やった。毎日、遅刻してまったく単位がとれなかったんで」。在学中に親の呼び出しは約30回超。同校の「記録になってるんですって」と今は笑える。
付き合う仲間も自然と「ワル」だった。「今思えば本当にむちゃくちゃやってましたよね」。
13歳で酒とたばこを覚え、無免許で車とバイクを乗り回した。補導歴は50回を超える。それらをスッパリ断ち切れたのはボクシング、そして恭子夫人との出会いに尽きる。
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長崎生まれ、尼崎育ちで九州とお笑いを愛する。
関大を卒業後、90年に入社。約2年の四国勤務でいろいろ学び、大阪に戻って主に大相撲、ボクシングを担当。
その後、担当記者として星野阪神の優勝に立ち会えて感動。福岡勤務などをへて相撲、ボクシング担当に舞い戻る。
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