【激辛!セルジオ越後】頭打ちの日本代表…変えるべき社会構造、競技の垣根、J組織体

強い日本代表が見たいなら、仕組みを変えろ! 本紙評論家のセルジオ越後氏が、辛口のカツを入れた。代表が閉塞感を打破できない現状に不安を募らせているセルジオ氏は、日本特有の社会的構造やJのシステムなどの大改革を口にした。

サッカー

21年10月 W杯カタール大会アジア最終予選 日本対オーストラリア 試合後、サポーターにあいさつする森保一監督

21年10月 W杯カタール大会アジア最終予選 日本対オーストラリア 試合後、サポーターにあいさつする森保一監督

公園に「ボール遊び禁止」の警告文

93年にJリーグができて、日本は圧倒的な強さでアジア予選を突破する時期がしばらく続いた。でも18年ロシア大会の予選から、楽な展開の試合数が減った。その1番の原因は、日本のスポーツ界の仕組みや他団体との協力態勢の欠如にあるだろうな。国や企業主導でスポーツを強化したツケが、これからもどんどん現実として我々に迫ってくるだろうね。

日本は文部科学省とスポーツ庁がスポーツを管轄する。私は文科省ではなく、国土交通省とスポーツ庁が連携してスポーツを主導した方がいいと主張してきた。その狙いは、公園の活用にある。日本は至る所に公園を作っているが、どの公園にも「ボール遊び禁止」や「キャッチボール禁止」の警告文が何枚も張ってある。「芝生に入らないでください」の立て看板も目に入る。

せっかくのスポーツを楽しむ空間(公園)が、あらゆるところにあるのに、スポーツ庁が公園を管轄する国土交通省傘下じゃないため、活用できなくなっている。欧州や南米のほとんどの国とは違う現状が、日本のスポーツ普及を邪魔していると言える。

「子供の安全」を優先することが理由だろうし、政府機関は万が一事故が起きた時に苦情を言われるのが嫌なんだろうね。でもね、サッカーボールを追ってはじけるような笑顔の少年の表情、ゴールして仲間と喜び合う姿を目にするだけで、子供たちはサッカーにあこがれ、野球が好きになるのに「危ない」との大人の判断基準で、その機会を奪うのはどうかと思うよ。

22年2月 W杯カタール大会アジア最終予選 日本対サウジアラビア 後半、指示を出す森保一監督

22年2月 W杯カタール大会アジア最終予選 日本対サウジアラビア 後半、指示を出す森保一監督

競技間の垣根を取っ払って

違う種目との連携不足も問題があるね。Jリーグができる前の話。あるスタジアムでマラソン競技をスタートして、ゴールもそのスタジアムになる大会があった。テレビ局とスタジアム側は、観客がゴールするまでの2時間、やることがないから、当時人気チームの読売と日産の試合を計画した。話が盛り上がったが、陸上連盟の反対で実現しなかった。せっかくのマラソン大会をサッカーの熱気で消されたくなかったようだ。

この競技間の連携はとても大事で、その垣根を壊すことがお互いにウィンウィンできる結果になるのに、日本では「自分の競技を守りたい」「せっかくの選手を多種目に取られたくない」の意識が強すぎる。

サッカー少年で足だけは速いが技術が身に付かない。バネがあってジャンプ力はあるけれど、サッカー感がないと言った子供は陸上やバレーボールなどに紹介してもいいだろう。逆に記録競技より対人競技の方が力を発揮できそうな子はサッカーへ導くなどの交流があっていい。でも少子化が進む現状では、自分たちの種目に興味を持ってくれた子を確保することが大優先で、他の才能を見抜いても見て見ぬふりをすることがあるのも事実だ。