15歳で衝撃V勝みなみのその後 駆け抜けた誰も経験できない10代

女子ゴルフで畑岡、渋野、原、小祝らが名を連ねる黄金世代(98年度生まれ)の物語は、8年前に始まった。ツアー史上最年少「15歳293日」で、史上4人目のアマチュア優勝-。勝みなみ、15歳の衝撃である。

ゴルフ

優勝カップを手に笑みを浮かべる15歳の勝みなみ=14年4月20日

優勝カップを手に笑みを浮かべる15歳の勝みなみ=14年4月20日

追われて打ったVパット

事実上のウイニングパットは、難しかった。

2014年4月20日、熊本空港CC。

勝は、KKT杯バンテリン・レディース最終日の最終18番パー5を、後続に3打差をつけて迎えていた。

グリーン手前に広がる池を気にしてか、第3打をグリーン左奥のバンカーに入れた。下りスロープの入るバンカーショットは、ピン上2メートルに止まった。

パーパットは下り、カップ1個は切れるスライスラインだった。

嫌な距離、嫌なライン。

状況的にも追い詰められてもいた。

1つ後ろの最終組で回るイ・ボミが17番でバーディーを奪った。リードは2打差に縮まった。

18番はホール別難易度18位、つまり最もやさしく、ボミは連続バーディーで締めくくる可能性が十分にある。

外せば、プレーオフもあるパットだった。

しかし、勝は決めた。当たり前のように決めた。

「入れる自信がありました」。

キョトンとした顔で笑った。

18番でバーディーを奪ったボミとは1打差だった。

初優勝を飾った最終日18番、豪快なドライバーショットを放つ勝みなみ=14年4月20日

初優勝を飾った最終日18番、豪快なドライバーショットを放つ勝みなみ=14年4月20日

衝撃の15歳V。

これが「黄金世代」という言葉が影も形もなかった8年前の出来事だった。

無名ではないが、有名でもない。

13歳からツアーに出場して、11戦を戦って、予選通過は6回、最高順位は12位だった。

当時の勝は、そんな立ち位置だった。

第1日は14番から5連続バーディーなど6アンダーで首位タイ発進だった。

「明日から、多分力が入るんじゃないかな。優勝争いできる実力はないと思います。まだ経験が足りないので」。

自身でもそう言った。

メディアが色めき立ったのは、1打差2位に後退した第2日の会見だった。

「私、ラウンド中、常に頭に曲が流れてるんです。それを歌って回ってます。今日は“アナ雪”の松たか子さんの歌かな。あと“六甲おろし”とか。(後半の)12番ぐらいから、盛り上げていこうと思って歌ってました」。

西日本開催のトーナメントは在阪スポーツ紙記者が多い。つまり阪神タイガース絡みの話題は聞き捨てならない。勝が自ら切り出した「六甲おろし」に数人が食いついた。

記者 「鹿児島生まれで阪神ファンなんですか?」

勝  「はい。おじいちゃんが阪神一筋なんです。私も寅(とら)年だし」

記者 「しかし、六甲おろし、いくらなんでもは3番まで歌えんでしょ?」

勝  「歌えますよ~。てーつわーんきょーだー…」

正真正銘の猛虎党だった。