香川真司を発掘、プロ経験のないC大阪監督小菊昭雄が「日本のモウリーニョ」になる日

C大阪監督の小菊昭雄(47)が、Jリーグの歴史を変えるかもしれない。プロ選手の経験はなく、中学生の指導者としてアルバイト採用されたC大阪で、スカウト、コーチを経て、昨夏に監督へと上り詰めた。スカウト時代に発掘した香川真司(33=シントトロイデン)とは17年の師弟関係を保つ。小菊が束ねる組織は今、Jリーグの頂点さえ見える位置にいる。(敬称略)

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C大阪対浦和 後半、PKで先制ゴールを決めたC大阪清武弘嗣は小菊昭雄監督と握手を交わす=22年5月25日

C大阪対浦和 後半、PKで先制ゴールを決めたC大阪清武弘嗣は小菊昭雄監督と握手を交わす=22年5月25日

◆小菊昭雄(こぎく・あきお)1975年(昭50)7月7日、神戸市生まれ。滝川二、愛知学院大を経て、98年C大阪下部組織のコーチに就任。スカウト時代に当時高2の香川真司を入団させ、06年以後は主に尹晶煥、ロティーナら歴代監督の下でコーチを務める。21年8月に監督就任。家族は夫人と1男。

監督を慕い今年4月異例の練習参加した香川

数年前は弟子より知名度は低かった。その師匠が今、Jリーグの風雲児になろうとしている。

昨年8月、C大阪監督だったレビークルピは、成績不振で事実上の解任となった。後任はコーチの小菊だった。「コギク」と読む名前より、「高校生だった香川をC大阪に入団させた元スカウト」という肩書の方が有名だろう。

開幕からの指揮は初めてとなる今季、9月に入った現在もJ1リーグ、天皇杯、ルヴァン杯を含め、シーズン3冠獲得の可能性がある。5月下旬から8月上旬までの間、公式戦は12勝5分け1敗という驚異的な数字を残した。

ただ、5月中旬までは連勝ができない、波に乗れない時間が続いた。そこで小菊の人間力だから、起こせた小さな奇跡があった。

ベルギーのオフ期間に入って帰国した香川が、C大阪での練習を希望。所属先の違う香川が古巣の練習着まで着用し、4月19日から3週間も実現した。香川が慕う小菊が監督でなければ、かなわなかったレジェンドの練習参加。ドルトムントに移籍した10年6月以来初めてだった。