【闘魂の実像:アリ編9】「賞金は勝者総取り」TVの前でアリにのませた〈全45回〉

アントニオ猪木さんが2022年10月1日午前7時40分、心不全のため都内の自宅で亡くなった。79歳だった。日刊スポーツでは06年に行った計8時間に及ぶロングインタビューをもとに45回の連載を掲載した。そこで綴られた波瀾万丈の人生を「闘魂の実像」と題して再録する。第2章「モハメド・アリ編」の第9回。(敬称略)

プロレス

〈第2章・第9回(全45回)〉

76年6月23日、猪木-アリ戦3日前の調印式が都内で行われた。この「前哨戦」の舞台で、アントニオ猪木は何ともユニークなパフォーマンスを演じた。「腕をへし折る」の意味を込めて、片腕をかたどったギプスをアリにプレゼントしたのだ。試合前のパフォーマンスは、当時のボクシング界ではアリの専売特許だった。完全に機先を制せられたアリ陣営は激怒。会場は乱闘騒ぎへと発展した。

スポーツ

田口潤Jun Taguchi

入社以来、スポーツ部では、五輪競技、相撲、サッカー、プロレス、格闘技、ボクシング、ゴルフを担当。五輪は98年長野、04年アテネ、14年ソチ、16年リオデジャネイロ大会を取材。
プロレス取材は05年で、新日本の暗黒時代だった。