【吹奏楽の世界】東海大高輪台にしかできない演奏がある~3年連続金の舞台裏〈1〉
全日本マーチングコンテストの高校以上の部(11月17日、大阪城ホール)で、東海大高輪台(東京)が3年連続で金賞をつかんだ。観衆の心をつかんだ圧巻の演奏。それは努力のたまものだった。全日本アンサンブルコンテスト、全日本吹奏楽コンクールに続くトリプル金を達成。吹奏楽に青春をかける、彼らに迫った。連載の第1話。(敬称略、一部写真は朝日新聞提供)
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東海大高輪台 連載〈1〉
東海大高輪台 連載〈2〉は11月27日に掲載予定
〈全日本マーチングコンテスト結果〉
【金】
活水中高(長崎)、滝川第二(兵庫)、精華女子(福岡)、東海大高輪台(東京)、神村学園中高(鹿児島)、箕面自由学園(大阪)、市立柏(千葉)、京都両洋(京都)、習志野(千葉)、伊奈学園総合(埼玉)、京都橘(京都)、熊本工(熊本)、玉名女子(熊本)
【銀】
愛工大名電(愛知)、早稲田摂陵(大阪)、叡明(埼玉)、東農大二(群馬)、出雲北陵(島根)、金沢学院大付(石川)、安城学園(愛知)、聖ウルスラ学院英智(宮城)、九州産大九産(福岡)、広島翔洋(広島)、松江商(島根)、富山商(富山)
【銅】
白子(三重)、高知学芸(高知)、松戸六実(千葉)、市立船橋(千葉)、出雲商(島根)、多賀城(宮城)、春日井西(愛知)、遠軽(北海道)、仙台向山(宮城)、江南(愛知)、城ノ内中等教育(徳島)
逆立ちをする少女
輝いた努力の結晶
力強く響き渡る旋律。
ドラムメジャーの華麗な姿。
それは1つの芸術であり、作品だった。
ここまで完成させるまでの道程を思うと、激しく心が揺さぶられ、涙がにじむような感情になる。
コンテスト2日前、彼らは大阪・門真市のラクタブドームにいた。
冷たい空気が広い会場を包み込む。
本番に向けた最後の調整。それは細部にわたり、緊張感が漂っていた。
演奏の合間のことだった。部員たちがパートごとに話し合っていた。
大ホールの片隅。薄暗い通路に、小さな影が動いていた。
たった1人。小さな少女が逆立ちを繰り返している。
何度かやった後に、ふ~っと息を吐く。
そして、みんながいる舞台へ戻っていった。
ドラムメジャーの吉田花奏(かなで、3年)だった。
1人、1人にドラマがある。
わずか6分の演奏に、これまでの練習の成果を全て出し切ろうとする。
仲間へ、どんな時でも支えてくれる家族へ。
その6分間は、まさに努力の結晶といえるものだった。
泣きたくなることもあっただろう。
逃げ出したくなる日もあったかも知れない。
ただ、1つだけ言える。
彼らは大阪城のホールで最高の輝きを放っていた、と。
それはどこにも同じものはない、唯一の輝きだった。
夜空に、最も輝く星のような存在。それが東海大高輪台だった。
この物語は、彼らの青春の1ページを追ったものである。
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茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。