【150秒の青春】箕面自由学園が見せたジャパンカップ女王のプライド~日本一奪還へ

チアリーディングの全日本高校選手権大会(1月26日最終日)で激しい優勝争いが繰り広げられた。ディビジョン1は梅花、如水館がノーミスの演技をし、大トリで舞台に立ったのが絶対女王の箕面自由学園だった。3連覇は逃しても、彼女たちの演技は観衆の心をつかむものだった。

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1月の全日本高校選手権大会で3連覇を目指した箕面自由学園はまさかの3位に終わった。ここから彼女たちの復活ストーリーが始まる(撮影・たえ見朱実)

1月の全日本高校選手権大会で3連覇を目指した箕面自由学園はまさかの3位に終わった。ここから彼女たちの復活ストーリーが始まる(撮影・たえ見朱実)

3連覇逃し3位~必死に耐えたスタンツ

目に焼き付く光景があった。

演技開始から40秒ほど。序盤に組み込まれた3層飛距離のダブル。

2基のうち正面から向かって左側が、体勢が崩れそうに見えた。

右と比べ、少しトップに高さがない。

ミドルの高山智子(3年)が、腰をかがめるようにしてトップをすくいにいく。同時にドベの紀春花(3年)も、膝を折ってかがむような体勢になっていた。

トップの井上結七(3年)の足はかなり低い位置で、それをミドルの高山が中腰になって抱え込む。

普通のチームなら、おそらくは崩れていただろう。

かろうじて耐えると次の瞬間、中央1基のトリプルが決まった。

左側の3層、1番下のドベと2層目のミドルが腰をかがめながら必死にトップを抱え込んだ(撮影・益子浩一)

左側の3層、1番下のドベと2層目のミドルが腰をかがめながら必死にトップを抱え込んだ(撮影・益子浩一)

さらに、演技後半に差し掛かろうとしていた時にもピンチがあった。

3層3基、スタンツ中央のハートフル。

ほんの少し、いつもより勢いがつきすぎた。

右からミドルを超えて左へ。ミドルの石本遥(2年)が抱え込んだが、トップの井上は「く」の時に曲がるようにして沈みそうになった。

絶対に石本は離さなかった。

井上は体勢を戻そうと立ち上がった。

ドベとベースの選手はバランスを保つために、左に流れながら2人を必死に支えていた。

中央の3層、トップの井上が崩れそうになりながら1番下のドベとミドルが耐えた。これも落下してもおかしくない場面だった(撮影・益子浩一)

中央の3層、トップの井上が崩れそうになりながら1番下のドベとミドルが耐えた。これも落下してもおかしくない場面だった(撮影・益子浩一)

その光景は印象的だった。

マットのすぐ目の前、隣で見ていたコーチの阪上知春の頬を涙がつたう。

彼女は泣いていた。

なぜだろう。

それは、選手のひたむきな姿に胸を打たれたから。

ジャパンカップに続く2冠とともに大会3連覇を目指した絶対女王のプライドを、見たからである。

GOLDENBEARSは負けることが許されないチームだ。

何が何でも勝ちたい―。

その思いが、演技ににじみ出ていた。

それは美しさを超えた、執念のようなものだった。

150秒の演技が終わる。

まだ点数は発表されていなかった。

過去に例がないほど、すごい大会になった。

会場はGOLDENBEARSに大きな拍手を送った後、静まり返った。

梅花が高校史上初のトリプル3基を成功し、完璧な演技を披露。如水館もノーミスだった。

ついに女王が女王でなくなる日が、訪れるかもしれなかった。

ただ、1つ言えることがある。

例え優勝を逃したとしても、彼女たちの演技は感動的で心に響くものだった。

箕面自由学園のメンバー。3位に終わっても必死に笑顔を振る舞っていた(撮影・たえ見朱実)

箕面自由学園のメンバー。3位に終わっても必死に笑顔を振る舞っていた(撮影・たえ見朱実)

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益子浩一Koichi Mashiko

Ibaraki

茨城県日立市生まれ。京都産業大から2000年大阪本社に入社。
3年間の整理部(内勤)生活を経て2003年にプロ野球阪神タイガース担当。記者1年目で星野阪神の18年ぶりリーグ制覇の現場に居合わせた。
2004年からサッカーとラグビーを担当。サッカーの日本代表担当として本田圭佑、香川真司、大久保嘉人らを長く追いかけ、W杯は2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、ラグビーW杯はカーワンジャパンの2011年ニュージーランド大会を現地で取材。2017年からゴルフ担当で渋野日向子、河本結と力(りき)の姉弟はアマチュアの頃から取材した。2019年末から報道部デスク。
大久保嘉人氏の自伝「情熱を貫く」(朝日新聞出版)を編集協力、著書に「伏見工業伝説」(文芸春秋)がある。