【失敗から再起するには〈上〉】五輪金14個の名将 まさかの人生暗転、その時
生きていれば、いいことばかりではありません。まさに一寸先は闇で、予期せぬことが起こることがあります。レスリングでオリンピック(五輪)の金メダルを量産した至学館大監督の栄和人氏(64)。2018年1月に勃発したパワハラ問題で、栄光から奈落の底に突き落とされました。一部報道は過熱。悪の権化のようにたたかれ、人格を否定され、表舞台から去りました。あれから7年。一時は自ら命を絶つことも考えた栄氏は監督としてレスリングの指導を続けています。まさかの人生の暗転。その時、何を思い、どう心に折り合いをつけて、人生の再スタートを切ったのか。栄氏に聞きました。2回連載の上編です。
その他スポーツ
レスリング女子を指導
五輪金メダル14個
栄和人(さかえ・かずひと)
1960年(昭35)6月19日、鹿児島県奄美市生まれ。鹿児島商工でレスリングを始め、日体大1年まで116連勝を記録。87年世界選手権フリー62キロ級で3位、88年ソウル五輪出場。90年から京樽で女子レスリングの指導を開始。96年に愛知・中京女大付高(現至学館高)に赴任し、03年から中京女大(現至学館大)監督。08年から日本レスリング協会女子強化委員長、14年から同協会強化本部長に就任。18年1月にパワハラ問題が勃発。4月に同協会強化本部長を辞任。同6月に至学館大監督を解任。19年12月至学館大監督に復帰。
2018年パワハラ問題で暗転
人生は何が起こるか、分からない。1つのミスや失敗、ちょっとした誤解、時には歪曲で、奈落の底に突き落とされる。決して有名人だけではない。SNS時代の現代は、一般人にもそのリスクは高まっている。
オリンピック(五輪)の金メダルを量産し、名将と言われた監督は予期しなかったパワハラ問題で、どん底に転落した。
至学館大レスリング部監督の栄和人氏(64)はオリンピック(五輪)金メダル14個、世界選手権を含めれば100個以上のメダルをもたらしてきた。2年後に東京五輪が迫った2018年。日本レスリング協会の強化トップ、強化本部長として、並々ならぬ意欲で新年を迎えた。
ところが、2018年1月、教え子で五輪4連覇を果たした伊調馨にパワハラを繰り返したとして、レスリング関係者から内閣府に告発状が出された。2月に知ったときは「びっくりした。そんなことが起こるとは」と驚くしかなかった。
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田口潤Jun Taguchi
1972年1月、東京都墨田区生まれ。王貞治さんが育った地域で、小学校の頃は王貞治杯に出場。大学では野球サークルで、野球部希望も入社当初は競馬などを扱うレース部。約8カ月でクビになり、野球以外を扱うスポーツ部。五輪競技、相撲、サッカー、プロレス、格闘技、ボクシング、ゴルフとすべての競技を担当。五輪は98年長野、04年アテネ、14年ソチ、16年リオデジャネイロ大会を取材。

