【柔道阿部きょうだい】3年後ロス五輪で2度目「兄妹同日V」へ 10泊12日合宿潜入
柔道男子66キロ級の阿部一二三(28)と、妹で女子52キロ級の詩(25=パーク24)が、異例の「米国3カ年キャンプ」を開始しました。
2度目の「兄妹同日V」を狙う3年後のロサンゼルス五輪に向けて、7月に米カリフォルニアで10泊12日の合宿を行いました。同じ地、同じ夏に、3年連続で行う合宿の“第1弾”のとある1日に密着。練習を間近で観察しながら、兄妹の強さの秘密に迫りました。
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3カ年計画の第1弾
阿部きょうだいは、なぜ強いのか?
かねて、率直な疑問を抱いていた。
阿部一二三と阿部詩。言わずと知れた、柔道界の顔。兄妹のイメージは,とにかく“強い”だった。
21年東京五輪(オリンピック)でともに金メダルを獲得。24年パリ五輪で、兄は2連覇を達成。妹は2回戦敗退に泣いたものの、今年6月の世界選手権では優勝。「世界一」の称号を奪還している。
記者は24年秋から柔道担当になり、今年4月に全日本選抜体重別選手権(福岡)、全日本選手権(日本武道館)などを取材。実力を目の当たりにした。そのたびに感じた。
「2人の強さの理由は何なんだろう?」。
もっと、2人のことを知りたくなった。
今回、練習を目の前で見る機会に恵まれた。全日本合宿の取材経験はあるものの、個人練習は初。
ついに、強さの理由が見えるのでは。期待に胸を高鳴らせ、米国に飛んだ。
畳ではなく黒いマットのレスリング場
7月26日、午前9時過ぎ。西海岸に位置するロサンゼルス国際空港から、東へ約65キロ。車で約40分の郊外の大学に、一二三と詩は現れた。
車から降りた2人は、白い柔道着…ではなく、Tシャツ姿。白と茶の壁に覆われた建物に入って、たどり着いたのは畳…ではなく黒のマットが敷かれたレスリング場だった。
米国では柔道はマイナースポーツ。競技人口の少なさゆえ、畳のある施設も少ない。限られた環境で、ベストな方策を探しつつ、合宿6日目を迎えていた。
この日のメニューはサーキットトレーニング。筋トレと有酸素運動を組み合わせ、5~7分間で10種類超のメニューをこなす。白いロープをたたきつけ、人が乗った荷台を押し、テニスボールをひたすら拾う。黙々と、淡々と、3セットを繰り返し、心拍数を高めた。日本時間では27日の午前1時過ぎ。時差ぼけの残る中、身体をいじめ抜いた。
午前だけでも、十分にきつい内容。2人の底力を感じたのは、ここからだった。
小高い丘の一本道ダッシュ「きつい時にもう1本」
午後3時過ぎ。塩豚丼などを食べた2人は、大学の一角にある「坂」に現れた。
気温23度、湿度55%。日がさんさんと降り注ぎ、草木が生い茂る小高い丘。その中に、小石が混じる、茶色い一本の道があった。
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