4月27日、常滑ボートで行われたG3レディース笹川杯は、平高奈菜(33=香川)が盤石の逃げで優勝。新女王の貫禄を示した。3月福岡SGクラシックからは中2日でまた福岡を走り、浜名湖、多摩川、常滑と3節連続で中ゼロ日の過酷なあっせんをこなした。そんな平高と同じ4節連続あっせんだったのは125期の冨名腰桃奈(21=福岡)。実はこの2人、別支部でも深い絆があった。

昨年12月、プレミアムG1クイーンズクライマックスで悲願の女子特別戦を制した平高が、つぶやいた。「勝てたのは、けがでリハビリ中のあの子のおかげ。自分がけがをして苦しんでいた姿と重なった」。

19年デビューの冨名腰は、平高が20年6月下関の転覆接触事故で骨折したレースで同乗。その時点で交流はなかったが、平高が復帰して「面白い子がいる」と福岡支部の選手から紹介された。今では平高の実家で一緒にトレーニングするまでの仲だ。冨名腰が昨年12月24日、芦屋の事故で右手薬指を複雑骨折などして入院した時、平高は毎日のように励ました。

冨名腰は当時を振り返った。「平高さんはオフの時と、レース場での近寄りがたい勝負の時のギャップがすごい。師匠(竹井奈美)と同じく、優しさの中に勝負に対する厳しさを行動で教えてくれる」。

ひと皮むけた平高の強さは、冨名腰の言葉に集約されている。