競輪の大川龍二(36=広島)は、ライフワークとして出身地の広島県廿日市市にある、小学生のドッジボールチーム「金剛寺ファイターズ」のコーチをしている。

大川龍二(20年2月撮影)
大川龍二(20年2月撮影)

全国でも名が知られるチームで、大川も小学生5、6年の95~96年にかけて全国大会で3連続優勝している。03年にチームは解散したが12年に再結成。大川は17年からコーチに加わった。「再結成したのはチーム創設者が病気になり、ドッジボールを見て元気になってくれたらという思いからでした。最初は運動感覚でしたが、子どもたちは次第に勝ちたいという意識が生まれてきたんです」。

監督を含め大川らスタッフは子どもたちと向き合い、全国大会に行くためには練習の内容や日数がこれまでと違うものになることを話し合った。その結果、19年に17年ぶりの全国大会出場を果たし、今年3月に石川県で行われた全国大会では3位になった。

「ひょろひょろして、自信がなさそうだった子どもたちが、準決勝で負けた後に『もっとやれていたかもしれない』と言ったんです。日頃、頑張ってプレーしろ、戦略を考えろと言っているんですが、自身の競輪に置き換えたときに『頑張っているのか、作戦をちゃんと考えているのか』と見つめ直しました。子どもたちは競輪は知らないけれど、恥ずかしくない走りをしなければならないと思いました。勉強になります」

教えることは、教えられることでもある。大川はそんな気持ちを心に刻み、高みを目指してレースに挑んでいる。