過ちを改めざる、これを過ちという。

先日、古性優作の優勝で幕を閉じた岸和田G1高松宮記念杯で、不可解な決まり手があった。初日東特選で逃げる吉田拓矢マークの平原康多が、最終バック過ぎから番手まくりを放ったが、この決まり手が「差し」だった。ファンもみんな、まくりと思っただろう。

日刊スポーツ評論家の中野浩一氏も「何かの勘違いだろうが、決まり手を真剣に見ろ」と審判に苦言を呈した。


岸和田競輪場(2021年5月30日撮影)
岸和田競輪場(2021年5月30日撮影)

ところが、2日目も…。青龍賞は小松崎大地が最終主導権を握り、続いた成田和也が一気差し。渡辺雄太マークだった郡司浩平は、バックで切り替え成田を急追。逆転はかなわず2着止まりだった。当然、決まり手は(切り替え)「マーク」だ。

しかし、審判の決まり手は「差し」。これには中野氏もあきれて、審判長に見解を求めた。審判長によると「郡司はバックから長い距離を追い込んだ」と、よく分からないことを言う。

「差し」は前の選手を抜いたときの決まり手だ。「成田を抜いていない以上、マークでは?」とさらに問うと「小松崎を抜いた」(審判長)。

それなら、たとえば、先行型Aに追い込み型がB-Cと並んでゴールはB-Cで入線した場合(いわゆるズブズブ)でも、Cは「差し」ということになる。

決まり手は失格のアウト、セーフのようにファンに直接、影響はない。しかし、決まり手の蓄積が選手の脚質の目安になる重要な要素だ。決まり手も、もっと慎重に判断してほしい。