「私らしく」。言葉にするのは簡単だが、奥が深く、実に難しい。私らしく勝つに越したことはないが、失敗して自信をなくすことだってある。

それでも「私らしく」を貫くのが宇野弥生だ。レース後のインタビューで必ず口にするように、ブレない宇野のメンタリズムを表す代名詞となっている。


宇野弥生(2023年1月9日撮影)
宇野弥生(2023年1月9日撮影)

誰もが宇野のレーススタイルを認めている。常にスタートを踏み込み、攻める姿勢を崩さない。いつ何時でも熱量は全く変わらない。選手も人間。同じ気持ちで走るつもりでも、グレードや状況によってモチベーションに差が生まれることは否めない。それが宇野にはない。だからこそ「私らしく」と言う資格がある。

21日開幕の蒲郡G2レディースオールスターに向け、1月下旬の蒲郡(優出5着)は最高のデモンストレーションとなった。12走してトップスタートが8度。6走目から破竹の6連勝を飾るなど、圧倒的な存在感を見せつけた。逃げた準優のスタートタイミングはコンマ01。宇野は「あんなに早いとは…。神様に感謝です」と苦笑いだったが、2着の荒井輝年は「さすがですよ」と大絶賛だった。

調整面でも収穫は多かった。「珍しく伸びが良かった。ずっと初動が良くなかったけど、準優が一番安心して乗れた」。安定板が付いたり、雪が舞ったり、急激に冷え込んだり…激しい天候の変化にしっかり対応し、舟足を仕上げた。

レディースオールスターのファン投票順位は35位だが、「私らしく」レースができれば、最高の結果が出る可能性は十分。今から開幕が待ち遠しい。