113期ルーキーの学校成績上位7人があっせんされた、宇都宮ミッドナイト競輪が今日9日に始まる。卒業記念覇者で在校5位の藤根俊貴は病気欠場になったが、デビュー戦Vの太田将成が追加配分された。豪華メンバーによる3日間に注目したい。

前検日にはルーキー7人が、わいわいがやがやとお互いの近況を伝え合っていた。ただし、同窓会のようなノリはここまで。それぞれがスケッチブックに意気込みを書き込みながら、気持ちを高ぶらせていた。臨戦態勢に入る注目株を紹介する。

予選1R。トップバッターは在校2位の小林泰正(24=群馬)が務める。ファンへ「1レース、1レースを全力で走り切ります!」と約束した。全プロ競技大会の中長距離種目で活躍する小林潤二(S級2班)が叔父で、やはり地足が武器。前場所の弥彦決勝はハナを切ることが出来ず3着になり「まずは先頭に立たないと持ち味が出ない。今回は後ろに差されるのを覚悟してでも仕掛ける」と話した。

2Rには在校6位の上田尭弥(20=熊本)が挑む。高校まで野球に打ち込み、自転車の経験は浅いが何度もまくりを決めてきた。「後がかりの脚質で、いつも後手に回って苦しい。組み立てが大事。早めに踏み出して1度はスピードを乗せておきたい」。まくり勝負は本意でなく、ライン決着の積極策へ意気込む。

超有望株の松井宏佑(25=神奈川)は3Rに挑む。スピードスケートから転向し、学校時代からナショナルチームのブノワヘッドコーチに見初められ在校3位だった。「今は伊豆のアパートに住んで、ベロドロームで乗り込んでいる。ナショナルに入れるかどうかはこれから」。アパートでは自炊し、栄養管理も自らする。プロ意識の高いアスリートは、氷上でかなえられなかった五輪出場の夢を抱いて走る。

4Rの太田将成(22=宮城)はS級上位の菅田壱道や安部貴之らに鍛えられ、着実にダッシュを強化した。「強い同期と戦うのは勉強になる。そのためにも予選はしっかり走る」。明るく前向きな性格で、在校成績は68人中42位でも気後れはない。波乱が多い長走路で一発を見舞う。

スピードとレースセンスが光る吉元大生(20=静岡)と橋本瑠偉(23=佐賀)は、それぞれ5、6Rで主役を張る。在校4位の吉元が「長く踏めるようになりたい。出切ってからは、力まず軽くペダルを回すことが大事」と課題を挙げれば、荒井崇博や井上昌己らと練習する橋本は「とにかく、早く上にいきたい。」と意気込んだ。橋本は7人中で1人だけV経験がない。在校1位の面目をかけて、今節に初V達成といきたい。

初日のトリは、在校7位で最多3度の優勝を誇る宮本隼輔(24=山口)だ。父は体重100キロ近くの巨漢で先行し、『重戦車』の異名だった宮本忠典氏(55期・引退)。父と違い体形はスマートだが、同様にG1戦線で大活躍も見込めそう。「父には何も言われない。練習をみてくれる桑原大志さんから『力を出し切れば大丈夫』と言われる。来年の地元・防府G3を走りたい」。スピード出世へ全力を注ぐ。

全員が順当に勝ち進むと11日の決勝は、来年春に予定されるルーキーチャンピオンレースの前哨戦にもなる。粗削りながら、ダッシュとスピードの競演が待ち遠しい。

【野島成浩】

冗談を言い合う113期ルーキー。右側では上田尭弥がスケッチブックに意気込みを記す
冗談を言い合う113期ルーキー。右側では上田尭弥がスケッチブックに意気込みを記す
113期ルーキー7人(左から小林泰正、上田尭弥、松井宏佑、太田将成、吉元大生、橋本瑠偉、宮本隼輔)
113期ルーキー7人(左から小林泰正、上田尭弥、松井宏佑、太田将成、吉元大生、橋本瑠偉、宮本隼輔)