今年も残すところあと20日。年末の大一番KEIRINグランプリ、ヤンググランプリ、ガールズグランプリのメンバーがすべて出そろい、並びの予想や、展開推理に心を躍らせている方も多いと思う。しかし、勝負の世界はきらびやかな舞台だけではない。

期末の月になると、選手によく頼み事をされることがある。それは、獲得賞金額や競走得点の順位を調べることだ。

S級上位の選手は、翌年のG1レースの出場権を気にしてのことだが、A級選手は心配の種類が違う。級班の振り分けは、コンマ単位の競走得点の差が明暗を分ける。レース後の選手が控え室で電卓をたたいている光景は、ある種の『期末の風物詩』とも思える。

特にA3班の代謝(登録抹消)がかかっている選手にとっては死活問題だ。半年ごとに、3期平均の競走得点で下位30人の選手が引退を余儀なくされている。

今期、荒川大輔(34=静岡)が、その代謝対象の渦中にいる。残された2戦(13~15松阪、22~24伊東)で、3期平均0・2点以上の上積みが必要だ。現在は松戸に出向いて猛練習中。調子が上がってきた10月以降は、何度も3連対に絡んでいて、残留への執念を感じさせる。

毎期ごとに3人が代謝となるガールズもA3班同様にシビアだ。今期は宮内愛と田畑茉利名が確定的で、残りの1人を112期の吉原菜那(21=佐賀)と高橋知里がわずか0・2以内の点差で争っている。これまでも繰り返されてきたことではあるが、同じ釜の飯を食った同期がこの位置で争うのは残酷に思える。

残り2戦に運命がかかる吉原菜那(撮影・松井律)
残り2戦に運命がかかる吉原菜那(撮影・松井律)

特に吉原は、ようやくレースにも慣れてきたころに落車が続き、窮地に陥ってしまった。残されたチャンスは2戦(14~16防府、23~25前橋)のみ。最後まであきらめずに頑張って欲しい。

【松井律】