4日に終了した取手F1は、なかなか話題が豊富だった。

約1年半ぶりの優勝を地元で飾った山岸佳太(撮影・栗田文人)
約1年半ぶりの優勝を地元で飾った山岸佳太(撮影・栗田文人)

まず、S級は地元の山岸佳太(29)が打鐘から1周半逃げ切るという圧倒的な内容で優勝した。一昨年8月の小田原G3を逃げ切りで制しファンを驚かせたが、その後はなかなか優勝に手が届かなかった。これが1つのきっかけになり、今後はF1はもちろん、G戦線を大いににぎわせてくれるはずだ。

見事に復活を果たした柴田洋輔(撮影・栗田文人)
見事に復活を果たした柴田洋輔(撮影・栗田文人)

そのS級決勝で3着に入った柴田洋輔(32=東京)の復活劇も鮮やかだった。12月の川崎で持病の腰痛が悪化し途中欠場。当方はちょうどその川崎で取材していたので、痛々しい姿を目の当たりにしている。そこから休養、リハビリを経て、今回が約2カ月ぶりの実戦だった。不安もあっただろうが、予選、準決連勝と最高の再スタート。「この2カ月間は本当につらかった。収入がないので(練習の合間に)荷下ろしのバイトもやった。あらためてお金を稼ぐのは大変だな、競輪選手は幸せだな、と感じた」と振り返る。東京に頼もしいマーク選手が帰ってきた。

初のS級決勝進出を決めた佐々木省司(撮影・栗田文人)
初のS級決勝進出を決めた佐々木省司(撮影・栗田文人)

もう1人は佐々木省司(41=青森)だ。今回がデビュー19年目でのうれしいS級初決勝進出。「これまで準決4着は何度かあったんですが、なかなか決勝に乗れなくてね。今年の目標にしていたんだけど、いきなり達成してしまいました」と満面の笑みだった。熱心な競馬ファンでもあり、昨年、当方が競馬担当から競輪担当に復帰した当時、最初に声を掛けてくれた選手の1人。今度は優勝を目指して、頑張れ!

通算200勝ならず。無念の真船圭一郎(撮影・栗田文人)
通算200勝ならず。無念の真船圭一郎(撮影・栗田文人)

もう1人挙げるなら真船圭一郎(30=福島)か。年明けからいいレースをしているのだが、あと1勝と迫っている通算200勝になかなか到達できないでいる。決勝も果敢なまくりが目を引いた。次開催こそ区切りの1勝を決めてほしい。

ガールズは石井寛子が完全V(撮影・栗田文人)
ガールズは石井寛子が完全V(撮影・栗田文人)

ガールズ決勝は石井寛子(33=東京)の完全Vで幕を閉じた。これで年明けから9戦無敗となり、どこまで連勝が伸びるのか注目される。「連勝を意識した途端に途切れるので、1戦1戦に集中している」と言う。今年は長い距離を踏むことをテーマの1つにしており「ニュー石井寛子を見てください」とアピールしていた。

今年はより積極的なレースが目を引く石井貴子(千葉)(撮影・栗田文人)
今年はより積極的なレースが目を引く石井貴子(千葉)(撮影・栗田文人)
年末のGPを目指す梶田舞(撮影・栗田文人)
年末のGPを目指す梶田舞(撮影・栗田文人)

同2、3着の石井貴子(28=千葉)、梶田舞(32=栃木)も動き、気合ともに上々だった。今年も暮れのガールズグランプリ(立川)まで、目が離せない戦いが続く。

113期卒記チャンピオンの藤根俊貴がS級特昇へあと3勝(撮影・栗田文人)
113期卒記チャンピオンの藤根俊貴がS級特昇へあと3勝(撮影・栗田文人)

そして、A級決勝は113期卒記チャンピオンの藤根俊貴(23=岩手)が前場所の防府に続いて完全Vを飾った。実は、連勝だけでいえば、前々場所の平塚から9連勝なのだが、その平塚は変則4日間開催で、初日に4着に敗れているため完全Vではなかった(3連続完全Vが特昇の条件)。S級特昇が懸かる次の西武園F1に向け「ちょうど師匠(佐藤友和)と一緒の配分なので、その前で決めたい」と意欲を燃やす。総合力は逸材ぞろいの113期の中でも屈指の存在。西武園で特昇を決めちゃってください!【栗田文人】