- 9日に選手手帳を返納した片寄雄己
静岡F1最終日の9日、片寄雄己(42=静岡)が6Rの出走を最後に引退を決断した。
小細工なしの先行勝負が代名詞。格上の新田康仁や渡辺晴智に任されれば、意気に感じて打鐘前から吹っ飛んでいく。そんな走りは記録よりも記憶に残る選手だった。
しかし、ここ数年は持病の慢性的な腰痛に悩まされ、満足のいく走りができなかった。
「近年の競輪がスピード化され、自分の先行が通用しなくなってしまった。もう自分に需要はないと判断して(辞める)タイミングを考えていました。最高の思い出は2つ。16年の静岡記念で決勝に乗れたこと。もう1つは同じ年に静岡で開催された日本選手権の1次予選で、根田(空史)が先行してくれて1着を取れたことですね」
- 根田空史との連係は最高の思い出
引退の2文字がちらつき始めてからは、同時にセカンドキャリアについても模索していた。
「腰痛を抱えながらトレーニングの勉強をしていく上で、これを次の仕事にしたいと思うようになりました」
片寄といえばシェーン・パーキンスら海外の選手と親交が深かったことでも有名。その人脈を生かし、昨年からたびたびオーストラリアや韓国などを訪れ、海外のジムを視察していた。
- パーキンスにとって片寄は日本のベストフレンドだった
今年1月にはプロトレーナーの資格を取得し、6月には静岡市内でジムを開業する予定だ。今後は自身の経験を生かし「セカンドキャリアに悩むプロアスリートの相談にも乗っていきたい」と語る。
現役からは退くが、ストイックの塊は、生涯トレーニングの道を究めていく。
- どんな時でも欠かさなかったウエートトレーニング
通算成績1688走、1着312回、2着214回、3着184回。
【松井律】