平成最後の卒業記念レースは、男子が山本修平(23=東京)女子は鈴木樹里(19=愛知)が優勝して幕を閉じました。2人とも在校成績は2位でしたが、決勝で勝負強さを発揮。特に、山本は「同期にシルバーコレクターと呼ばれていたので最後に勝てて良かった」と、喜びを口にしていました。立川所属の久々の大物誕生には競輪場の関係者の方も非常にうれしそうでした。年内にS級昇級なら、20年1月の立川G3に間に合いますね。

優勝して宙を舞う山本修平。勝負強さが光りました
優勝して宙を舞う山本修平。勝負強さが光りました
山本修平(右)を狙っていたカメラに気づくと坂井洋(左)が勝者をたたえてくれました。これぞノーサイドの精神ですね
山本修平(右)を狙っていたカメラに気づくと坂井洋(左)が勝者をたたえてくれました。これぞノーサイドの精神ですね

勝者をたたえるのは坂井洋(24=栃木)。自身は2センターでの接触で車体故障して力を出し切れませんでしたが、競走得点は唯一80点台で在校1位を死守。師匠の星野辰也が「弟子に来る前からすごいとは聞いていましたが、本当にすごいですよ」と絶賛する逸材。「栃木の『練習横綱』長島大介が『横綱って降格がないんです。だから、僕は練習横綱引退です!』って言うくらい」と、冗談まじりでしたが、すでに選手間でも話題になるほど。

ブノワの指導を受けるハイパフォーマンスディビジョンにも選ばれ、ブノワに「帰省中は休め」と言われたにもかかわらず、バンクに現れるほどの練習の虫だそうです。目標は作新学院高の大先輩・神山雄一郎。将来の栃木勢を引っ張る意気込みです。

果敢に打鐘先行するも3着に終わった小原佑太。S級一番乗りを目指して頑張れ
果敢に打鐘先行するも3着に終わった小原佑太。S級一番乗りを目指して頑張れ

決勝は赤板まで誰も動かない中、最後尾9番手から逃げたのが私の“推しメン”小原佑太(23=青森)。「前に出てペースでと、そこまでは良かったけど、落車にビビってしまって下に降りてしまった。戻るときに足を使ってしまいました。精神力やレース勘のなさですね」。それでも「同期で一番早くS級に行きたい」とライバル心をむき出しにしていました。

大学3年時にはナショナルチームからお声がかかったほど。ただ、インカレのレース中に落車し、右膝のいわゆるお皿を骨折。今でも手術痕が残っています。そこから奮起してデビューを迎えます。「(朝日)大学に進学するときに、親に『大学に行くならプロになれ』と言われたし、自転車で親に恩返ししたいと思いました。自転車ってお金もかかりますから」。さわやかな笑顔と親思いのあるスター候補生です。

ちなみに、同じ青森からは小原丈一郎(20)がデビュー。こちらは、引退された小原則夫さんのご子息です。

卒業記念は、栄光の未来を見据える若い生徒たちから刺激をもらえました。今、111期、113期が輪界の勢力図をどんどん塗り替えています。115期生も、輪界の世代交代に弾みをつけられるか、しっかり追い続けたいと思います。【山本幸史】