S級初Vを飾った岸沢賢太(撮影・栗田文人)
S級初Vを飾った岸沢賢太(撮影・栗田文人)

競輪、楽しんでいますか?

京王閣・日刊スポーツ杯は岸沢賢太のうれしいS級初優勝で幕を閉じた。先行した河合佑弥の番手からまくった宿口陽一をゴール寸前で差してのV。デビュー以来、自力でラインを引っ張ってきた姿を競輪の神様がずっと見ていたのだろう。苦節14年目での美酒。素直に拍手を送りたい。おめでとう!

セッティングをガラリと替えV字回復の宿口陽一(撮影・栗田文人)
セッティングをガラリと替えV字回復の宿口陽一(撮影・栗田文人)

同県同期で岸沢の前を走った宿口も今開催から自転車のセッティングをガラリと替えて動きが一変していた。今後が楽しみだ。

近い将来、必ず関東を引っ張る河合佑弥(撮影・栗田文人)
近い将来、必ず関東を引っ張る河合佑弥(撮影・栗田文人)

さらにその前を走った“調布のユル・ブリナー”こと河合も、先行できなかった予選、準決の反省を生かした思い切りのいいレースが光った。逸材ぞろいの113期の中でも屈指の存在。近い将来、東京を、そして関東を引っ張る存在になるに違いない。ちなみに若いユーザー(読者)にはユル・ブリナーの名前はピンとこないかもしれないが、映画「王様と私」、「荒野の7人」などで知られる往年の名優だ。

準決1着で決勝に進出した金子貴志(撮影・栗田文人)
準決1着で決勝に進出した金子貴志(撮影・栗田文人)

そのユル・ブリナー…ではなく河合を絶賛していたのが、ベテラン金子貴志だ。準決では、まくってきた河合に合わせるように番手から出て快勝したが、レース後「4番(河合)は強い。あの子、愛知県の出身なんですよね? 早いところ愛知に移籍してきてほしいわ」と、真面目が歩いているような男にしては珍しいジョークを発したのが印象的だった。…いや、本人としてはジョークではなく、いたって真面目だったのかもしれないが…。

来月双子の父になる予定の佐山俊樹(撮影・栗田文人)
来月双子の父になる予定の佐山俊樹(撮影・栗田文人)

A級では佐山俊樹の健闘が目についた。決勝は自身は勝てなかったものの、打鐘からカマしに行って、番手の手島志誠の優勝に貢献。初日の紙面でも紹介したが来月には双子の男の子の父になる予定で、前検日に「昔から、奥さんのおなかに子供がいるときは運が向くというよ」と教えたところ一気にスイッチが入り、シリーズを通して気合みなぎる走りを見せてくれた。あらためて「競輪で一番大切なのは気持ちだ」と痛感した次第だ。

いや~、競輪って本当にいいものですね。【栗田文人】