四国ラインがまた一段と頼もしくなった。今年のG3開設記念は、これまで15のうち5開催を四国勢が制した。その原動力はなんといっても若手の躍進。そこで、小倉竜二(43=徳島)と渡部哲男(39=愛媛)を直撃した。四国を支えてきた2人に、期待の若手を分析してもらった。

小倉竜二(左)と渡部哲男。小倉が持つスナップ画像は左から太田竜馬と松本貴治、小川真太郎。渡部の手には左から門田凌と島川将貴
小倉竜二(左)と渡部哲男。小倉が持つスナップ画像は左から太田竜馬と松本貴治、小川真太郎。渡部の手には左から門田凌と島川将貴

記者が5枚のスナップ画像を差し出す。それは太田竜馬と松本貴治、小川真太郎、門田凌、島川将貴のもの。

小倉「なあ哲男っ、オレが太田と松本、小川を持つよ」

渡部「じゃあ、自分は門田と島川ですね」

太田竜馬は名前の「竜」と「馬」をもじって自らデザインしたTシャツがお気に入り
太田竜馬は名前の「竜」と「馬」をもじって自らデザインしたTシャツがお気に入り

小倉「太田には言うことがない。ずぬけている。脚力はナショナルチームになれるようなレベル。レースでも、やることをやっている。このまま、今の走りを続けていけばいいよな。だろ、哲男っ」

渡部「はいっ。太田は瞬時の判断がすごいです。作戦どおりにいかなくて後方になっても、すかさず内へ切り込んだり。簡単に負けない。センスというんですかね、いいです」

小倉「脚力だけなら、松本もナショナルクラスだな。ただ、まあ、レースが下手。組み立てがまだまだ」

渡部「松本はそう、組み立てが課題ですね。作戦どおりにいかなかった時に、動けなくなる。そこをどう良くするかでしょうね」

オールラウンダーの素質がある小川真太郎
オールラウンダーの素質がある小川真太郎

小倉と渡部が最も長く、熱く語ったのは小川に関してのときだった。

小倉「小川にはさ、いつも言うんだよ。『お前、もっと頑張れ』ってね。若手では、最も自在性がある。古性優作や木暮安由みたいになれる。ただね、他地区と仲よくするのはいいんだけど、レースはレースと割り切って、しっかり戦ってもらいたい。『相手に嫌がられることをやれ。今のままだと、いつまでも本線の当て馬。戦いやすい番組にならないぞ』って言ってるんだよ。太田がいて松本もいる。タイトルに近い位置を回れる可能性があるんだから」

渡部「そう、仲がよくても割り切りが大事です。小川は地足があって、器用に動けますからね。いろんな展開に対応できる」

G1の顔になってきた佐々木豪
G1の顔になってきた佐々木豪

小倉「門田をどうこう言うのは、まだ早いな。あいつは全て足りない。あれっ、佐々木豪の写真はないの? 佐々木はスケールというか、持ってる力はすごい。一番、大化けするかも」

渡部「佐々木は体が強い。ただ、勝ちパターンにこだわるところがある。その組み立てを外すと、ばたばたと慌てちゃうというか。そこで足を使い、最後に末が甘くなっちゃう」

小倉「佐々木と一緒で、島川もすごく強くなる可能性があるぞ。不器用で、学校なら逆上がりができないタイプ。でも、真面目で一生懸命に練習するからな」

小倉竜二。天才レーサーが四国のまとめ役として奮闘している
小倉竜二。天才レーサーが四国のまとめ役として奮闘している

四国勢の充実ぶりはデータにもくっきりと表れている。開設記念を例にすると、4日制になった02年4月から、四国勢の年間最多優勝は03年の6度。現在はあと半年を残し、その最多優勝を更新する勢い。13年から3年続けて優勝なしだったこともある。また、優勝者の顔ぶれも広がった。03年は3度制した佐々木則幸と2度の小川圭二、そして1度の小倉竜二。今年は勝った順に池田憲昭と太田竜馬、阿竹智史、渡部哲男、山中貴雄。池田と太田、山中が記念初優勝を遂げて、ニューヒーローが続々と誕生している。

小倉「堤洋さんやノリ(佐々木則幸)、浜田浩司、哲男。追い込みなら香川雄介さん。いつも一緒にG1に行った。今は、あの頃みたいに人数が増えた」

渡部「こんな風に若手が出てくるのが、あと5年早かったらな。なんて、たまに思います」

目指すはG1タイトル。再び充実期を迎えた渡部哲男
目指すはG1タイトル。再び充実期を迎えた渡部哲男

小倉は99年4月にS級1班に上がり、99年と06年の競輪祭でG1を2度制した。大ギア時代に影を潜めた、十八番のハンドル投げが復活して先の取手記念でも決勝3着と活躍。渡部は08年に初代S班を張った。一時は深刻な腰痛に見舞われながら、機動型から追い込み型へ戦法スタイルを変えて今の地位を保った。

小倉「昔は実は練習してなかった。ほんと、テキトーにやってた。で、今になって気付くことがある。ありがたいことに、いい流れがきた。それに応えたい。欲はないよ。若手と連係を外さないことだけ。そこだけに集中する。哲男は、タテ足があるからチャンス」

渡部「今まで通り、1戦1戦やるだけです」

小倉は時折兄のような立場から。渡部は長く機動型として戦った立場から、若手にアドバイスを送る。13日に岸和田で開幕するG1高松宮記念杯には、小倉と渡部ら四国勢が12人エントリー。旋風を起こすか注目したい。【野島成浩】