◆10R 暑い、とにかく暑い前検日だった。「いい成績を残そう」という選手の欲と、いい話を聞き出そうとする報道陣の気持ちがぶつかり合って、検車場は活気に満ちあふれていた。

今回期待の若手ということで、宮本隼輔も記者に囲まれていた。期待値の高さは、初日1予のメインに組まれたことからも分かる。メンバーを見ると宮本だけ3車のライン。後は岩本俊介2車、北津留翼が2車、中西大が単騎。オールスター競輪では力以上を出し切るイメージが強い小嶋敬二も単騎となったことも、宮本にとって追い風だ。番組は人に作られているとはいえ流れも宮本に向いている。

宮本隼輔はG1初挑戦でも狙い目十分
宮本隼輔はG1初挑戦でも狙い目十分

大垣G3の決勝は新人離れした位置取りで、古性優作の3番手からまくって優勝。真後ろにいた平原康多に差されなかった。これは、近況先行で戦っているからこそ出せた末足だと思う。勝利は偶然が何回も積み重なり、なおかつ最善の選択をした者がつかみ取る。宮本の大垣G3優勝は、まさにそれだった。

10Rは岩本、北津留がどう戦うかだ。宮本にとって一番怖いパターンが、前受けから北津留がたたき、宮本に当てられたという反骨心でひと泡吹かせたいと思う岩本の先行だろう。中団にトップスピードが高い北津留が収まると厄介だ。

宮本の運をつかみ取る強さと脚力は、十分にG1を取る器があると思う。まずはG1初戦を楽しみたい。(日刊スポーツ評論家)