ヤマコウカップはいよいよファイナル。ヤマコウ(山口幸二氏=日刊スポーツ評論家)は実弟の山口富生の地元Vを期待した。先陣を切る吉田敏洋も山口の思いを感じて仕掛けるはず。絶好の番手回りから差し切るとにらんだ。一方、本紙村上は、気配のいい吉田を本命視した。

ヤマコウは実弟、山口富生にエールを送った
ヤマコウは実弟、山口富生にエールを送った

吉田敏洋が連日果敢な攻めで、富生の決勝入りに貢献した。あいつは分かりやすい。調子がいい時ほど顔が引き締まる。近況はよほど手応えがあるのだろう。私に目で合図をしてクールダウンに向かった。初日も2日目も、バンクの下りを利用して仕掛ける姿に、レースに対する余裕も感じる。

全レースが終わり、息が上がる選手が行き来する中、地元の横関裕樹は悠然と自転車整備をしていた。聞くと「前輪のハブから異音がする」らしい。「しばらく自転車を触ってなかったから、油が不足しているんですかね~」と、のんきに答える姿がかわいかった。何とかA級優勝して喜ぶ顔が見たいものだ。

決勝は敏洋が戦いやすい選手がそろった。ラインができる和田真久留、横山尚則は先行意欲の点で敏洋に劣るからだ。準決10Rの和田は「思ってもみなかった」と4番手が取れたこと、そして「ホームで落車がありタイミングが取りづらかった」こともあり、最終2センターからの仕掛けになった。いい位置が取れると勝負権がある。横山も近況は位置取り重視の走りだ。

富生は今年の大垣G3で400勝を決め、その時に私は喜びの声を伝えた。ひと言ひと言に重みがあり、なぜ富生や他のベテラン選手が人気を集めるかが分かった。初日は敏洋の3番手から中を割って1着。準決はホーム仕掛けを差せず2着。差せるかどうか評価が分かれるところだが、プラスアルファの力を期待する。(日刊スポーツ評論家)