◆11R 日刊スポーツ評論家のヤマコウ(山口幸二氏)は松浦悠士を本命に推した。

KEIRINグランプリ2019に向け肩を組んでガッツポーズする松浦悠士(左)と山口幸二氏
KEIRINグランプリ2019に向け肩を組んでガッツポーズする松浦悠士(左)と山口幸二氏

1億円をかけて戦う日がやってきた。その中には、20年の東京オリンピック(五輪)を目指している選手がいる。脇本雄太と新田祐大だ。今年に入ってナショナルチームの活躍が目覚ましく、ワールドカップ(W杯)などでメダルを量産している。その効果は競輪選手にも波及して、残り半周のタイムは上がり、ナショナルチームのトレーニングメニューは誰もが知りたい情報となっている。ただ、競輪は脚力があれば勝てるわけではない。そこに展開の要素が加わる。

それでは、展開の要素を加味するとどうなるのか。新田は展開に対して受け身の要素が強い。ここをどう克服するのかが鍵となる。続いて脇本。航続距離が魅力で、彼を中心にレースは動くと思う。リング中央にいるのは脇本という構図だ。新田が受け身でレースを進めると、単騎の平原康多、郡司浩平、中川誠一郎はレースを動かす力はない。展開を左右するのは清水裕友に絞られるだろう。

私は、新田が後ろ攻めになると、1度足を使うことになる。そうなれば勝機が遠のくので、前受けからレースを始めると読んだ。しかし、脇本が前を取るようだと新田は苦戦必至。まずは新田が前受け。そこに清水が続き、単騎の選手、後ろから脇本が動く展開になるだろう。清水は、後ろの脇本の動きを警戒しながら、打鐘あたりで前に出る。脇本を突っ張りながら好位(できれば番手、村上博幸が付いてきたら3番手)を確保すると思う。そこで最終ホームを通過してバックに入る。

単騎の選手(特に郡司、平原)は内のコースも視野に入れているはずだ。清水はバックから仕掛けるか、新田の動きがなかったら、仕掛けはもう少し遅いかもしれない。最終4角は脇本先頭で、番手に博幸、外に清水、新田、内に松浦、郡司、平原の形で入るだろう。そこから抜けるのは松浦ではないか。

彼は、自力でエリート街道を突き進んできたわけではないので、ラインの力をとても重視してきた。「オールスターから、脇本さんや新田さんとは走っていない。成長した僕たちを見せることができるかなと思っています」という松浦が、初出場初優勝を目指す。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)