新型コロナウイルス感染拡大防止の緊急事態宣言が全国に拡大されてから、初のG3が開催される。

平塚、西武園とG3中止が相次ぎ、重苦しい空気が漂っていた競輪界だが、開催を決めた武雄競輪の英断を支持したい。今だからこそ開催する大義はあると思う。

昨年の名古屋オールスター以来、8カ月ぶりの参戦となる深谷知広も「知人の医療関係者を通じて、何らかの支援を考えている」と言う。

新型コロナウイルス対策のマスクとゴーグルを付けたヤマコウ(左)と深谷知広
新型コロナウイルス対策のマスクとゴーグルを付けたヤマコウ(左)と深谷知広

今、競輪界は岐路に立っている。「武豊さんほど影響力はないが、僕が走ることで、競輪が新型コロナに対して役立てればいい」と思い、深谷は追加参戦した。その言葉を聞いて少し安心した。ナショナルチームに参加して以来、深谷の情熱が競輪に対して冷めているのでは? という気持ちがあったからだ。

今回、それをぶつけてみた。「以前よりキラキラしたものはないが、KEIRINグランプリやG1をもっと取りたいという気持ちは、もちろんあります」と答えた。

17年の平塚GP、先行してゴール前で落車し、再乗した深谷にどれだけのファンが声援を送ったか。走る機会が少ない今でも、最強の競輪選手は深谷だと思っている。彼が立ちはだかる競輪が見たい。

東京オリンピック(五輪)が1年延期になり、ロシアのドーピング疑惑もあり、五輪出場者がいまだに決まらない中でのG3参加だ。予選から若手大物選手がゴロゴロいるが、年齢的、格的にも受けて立つ立場だ。高橋晋也や宮本隼輔らが、どれだけ深谷に通用するのかも興味深い。

深谷が参戦することによって武雄G3の楽しみが増えた。(日刊スポーツ評論家)