武雄G3から止まっていたグレードレースが再び動きだした。日本選手権中止は、どの選手もショックを受けたようだった。しかも、7月から9月まではG1、G2以外7車立てとなる。新型コロナウイルス対策の緊急処置とはいえ、競輪界の将来に危機感を覚える。トップの平原康多に話を聞きたくなった。

「ダービーの中止は考えられなかった。ウィナーズカップ(福井)で、落車した分も取り戻そうと必死だったので、発表を聞いてからの数週間は、フワフワして気持ちがどこにあるのか分からなかった。競馬やボートができて、なぜ競輪はできないのかも悔しかった。この先7車立ても決まっているし、競輪に対する危機感は非常に強いです」と、現状に対する気持ちを語ってくれた。続けて「今回の中止で、五輪を目指す選手のすごさも分かった」と4年かけて五輪に出場するには、偉大な覚悟がいることに改めて気付かされたようだ。

平原は「競輪は9車でラインがあるから面白い。強い選手を相手に、どう動かして、どうラインを生かして勝ちを目指すのかが魅力。スプリント勝負なんて面白くない」とケイリンではなく競輪がしたいと言う。「7車立ては7月から3カ月という話ですが、また(第2波の)ウイルスが来てなし崩し的にずっと続くのが一番怖い。7車では競輪の奥深さは伝わらないですから」。G3全国あっせん(久留米からは地区別あっせん)最後のレースで、吉沢純平の番手から9車立て競輪の奥深さを見せて欲しいと思う。(日刊スポーツ評論家)