小さな頃から電車が好きで、長い列車を見るとテンションが上がった。何か特別感があったからだ。特別競輪も決勝は6周、GPは7周競走なので「このレースは特別なのだ」と思わせる。走る方は足の都合もあるので5周で終わって欲しいが(笑い)。

私はトップクラスの選手が7車を走ることにまだ抵抗がある。プロ野球が7回で終了したり、7人で守るような違和感だ。「簡単、分かりやすい」が世の中の流れだが、守ってほしい価値もある。競輪から複雑な要素を取り除くと、選手はますます“ばくちの駒”と化し、パチンコやボートレースに勝てなくなり、勝てば何でもいいという考えが支配する。そこに競輪の居場所はない。ファンが求めているのは「ラインで決められなくてすみません」ではなく「勝つためにこうしたい!」という自己アピールだ。選手はもっと自分を前面に押し出し、ファンがワクワクする走りを見せて欲しい。

ヤマコウは松浦悠士の前で戦う清水裕友の走りに注目
ヤマコウは松浦悠士の前で戦う清水裕友の走りに注目

初の7車立てG3は、前半戦を見て、後半の選手はレースを組み立てるだろうが、「最悪でも7番手がある」と、位置取りを軽視すると失敗する可能性は高くなる。脚力だけで勝てるのは脇本雄太や新田祐大など、ごく限られた選手だけで、その選手たちも一緒に走れば、組み立ての緻密な選手が勝つ可能性が高い。

特選は清水裕友と小川真太郎、河端朋之にラインができて中川誠一郎が単騎になる。前を取った選手が先行になると思うので、清水が調子を確かめる意味でも前受けからカマすだろう。(日刊スポーツ評論家)