日刊スポーツ杯を懸けた「ヤマコウカップ」が開幕する。ヤマコウ(山口幸二氏=日刊スポーツ評論家)は特選9Rの古性優作をイチ押し。今月から始まった7車立ては、まさに古性向けと分析する。さばき、自力を使い分けての首位とにらんだ。

ヤマコウ(左)は7車立ては古性優作(右)にぴったりだとにらんだ
ヤマコウ(左)は7車立ては古性優作(右)にぴったりだとにらんだ

今年も関係各位の尽力があって「ヤマコウカップ」を迎えることができた。自分の冠がつき、普段の開催とは微妙に気持ちが違う上に、せがれ(聖矢)が走るので検車場も何か居心地が悪い。それはせがれも同じと思うが、宝満大作の明るさに救われた。「たいこ持ち」の異名を取る彼と話すと、誰もが冗舌になる。レースで「たいこ持ち」にならないよう、くぎを刺して検車場を後にした。

小松島G3などを見て、S級7車立ての形が見えてきた。支線で車番が悪いと打つ手が見つからない上に、レース形態が単純になった。中川誠一郎や河端朋之のように脚力があって、レースの組み立てが器用でない選手の存在感が増している。自力で劣る選手が、好位のみを求めて走るからだ。

今節参加の古性優作は柔軟なさばきに加え、緻密な組み立てで勝負する選手なので、7車立ては物足りないだろう。古性は「競輪の魅力がそがれる」と懸念しているが、彼にとっては追い風になると思う。7車なので、さばきの場面は少なくなる。彼のようなさばきにたけた選手は、内に詰まって大敗するリスクが減ったとも言える。

前走の福井F1優勝後、自転車のセッティングを触る古性がいた。優勝した後に自転車をいじることは、普通では考えられない。多分、高松宮記念杯の脇本雄太を見て、長い距離を高速で回る必要性を痛感したのだと思う。

特選は好位にこだわるメンバーではない。自力、さばきで勝る古性がカマして勝機をつかむ。(日刊スポーツ評論家)