寛仁親王牌が始まる。今年は日本選手権が中止になった影響で、賞金でのGP出場枠が1つ増えた。もちろんG1を取って出場するのがベストだが、少しでも賞金を上積みしたいのが本音であろう。

全プロ競技大会が行われなかった影響で、初日の理事長杯は昨年のGPと同じメンバーで戦うことになった。優勝した佐藤慎太郎以外は「あの時、こうすれば良かった…」と思うポイントがあるはずだ。初手や道中の動き、さらに高度な心理戦を期待したい。

ヤマコウは特選11Rで地元地区の2人に任された吉田拓矢に注目した
ヤマコウは特選11Rで地元地区の2人に任された吉田拓矢に注目した

特選も面白そうなメンバーがそろった。10Rは新山響平、11Rは吉田拓矢だ。徹底先行の時期を過ぎて、勝ちを意識した仕掛けに変わってきた。特に吉田にそれを感じたが、本人はそんなことはないと言う。「先行基本で何でもしたい。前走の函館F1は、まだ体調が戻っていないこともあって仕掛けが消極的だった。あのメンバー構成なら、もっと早く仕掛けても良かった」と振り返る。

だが、私は今のルールに合った先行だと思う。後ろ攻めで結果を出すことが難しくなった今、先手を取るまでに頭を使わなければいけない。原田研太朗と古性優作が相手なら、吉田は先手は取れそうだ。

「今の流行はハンドル幅を狭めるのが主流ですが、それをやると自転車が進む感覚が分からなかった。今回、昔のように(360ミリから370ミリに)ハンドル幅を広げたら自転車が進む感じをつかめた。前橋は後方に置かれたら厳しいので前前に攻めたい」と分析した。そんな吉田の走りに期待したい。(日刊スポーツ評論家)