2日目に取り上げた松本貴治は、見せ場を作ることなく6着に敗れた。敗因は、終始菅田壱道の動きをあてにしたこと。渡辺雄太の動きに付いていけば、三谷竜生に入れてもらえないと思ったのだろうか。粘られるのが不安なら、自ら動いて深谷知広を待てば3番手が取れた。足を使わずに好位が取れるほど、上位は甘くなかった。

ヤマコウは「関東が少しでも勝ち上がれるように」と好気合の平原康多に熱視線を送る
ヤマコウは「関東が少しでも勝ち上がれるように」と好気合の平原康多に熱視線を送る

位置取りが抜群にうまいのが準決11Rの平原康多だが、今節の動きは決していいとは言えない。しかし、2予A11Rで吉田拓矢の番手から、山田庸平を合わせた一瞬のスピードは光った。初日の理事長杯とは違い、自転車を軽快に扱っているように見えた。平原に聞くと「落車の影響で、正直体調はギリギリ戦えるラインです」と達観した表情で応えた。

「でも今日(2日目)はスッと自転車が出てなかった?」とかぶせると「初日が終わって、脇本(雄太)に体幹の使い方を聞いてハッとすることがあった。そうしたら2予は、いい時はこんな感じで乗っていたなという手応えがあった」と好感触を口にした。

夏場あたりから落車が多くなり、安定した調子でレースに挑むことが少なくなっていたので、これは大きな追い風だろう。どのスポーツでもけがはつきものだ。どれだけその壁を乗り越えたかで評価は決まる。平原は何度もその壁を乗り越えている。

準決11Rは1番車に諸橋愛がいるので、2段駆け含みの中四国勢や、今節先行で結果を出している深谷を両にらみできる位置が取れる。ナショナルチーム対決が話題になっているが、競輪選手の意地を見せてほしい。(日刊スポーツ評論家)