SR賞も、深谷知広が主導権を握ってレースが進んだ。移籍1発目のG1で、南関勢に認められるように先行基本に組み立てている。それに応えようとする郡司浩平。深谷の移籍は、南関全体が強くなる相乗効果を生んでいる。

そして、7番手から巻き返した清水裕友は、かなり調子が戻っていると感じた。初日特選が終わって松浦悠士が「清水は前を回りたいだろうなと思った」と話した。松浦の見立て通り、清水が仕掛けて2着に入ったわけだが、清水が前を回りたいと感じる理由を松浦に聞いた。「レースに躍動感があったから、そう思った。踏み出しの加速や伸びが今までと違って見えた」と、盟友らしい感性で答えてくれた。最終ホームから仕掛けた清水は、郡司の上を越えそうな勢いだった。郡司も初日のことがあったので仕方なく番手から出た。2着に敗れたとはいえ久しぶりに強い清水を見た。

昨年覇者の清水裕友が完全復活を遂げた
昨年覇者の清水裕友が完全復活を遂げた

中国両者が走る11Rも激戦だ。高松G3とは別人の根田空史をはじめ、新山響平がいて北津留翼もいる。清水は1番車に入ったが、初手から先行する後ろを狙うと5番手以降に置かれる。根田か新山を1度たたかないと中団は取れない。そのリスクより、私はホームから仕掛けると読んだ。

昨年1年で、清水-松浦の並びより、松浦-清水の方がしっくりするようになった。清水がタイトルを量産するには、そのイメージを覆さないといけない。G1の準決で清水が前を回って、2人で決勝に進むことが、2つ目のタイトル獲得への1歩となる。(日刊スポーツ評論家)