23日の名古屋F1決勝に心が震えた。この開催を最後に引退を表明していた林巨人が、完全優勝して幕を閉じたからだ。彼は中部の中堅選手として、上の世代と下の世代との潤滑油だった。決して華やかではなかったが、最後にこんな大舞台が待っていた。彼の走りに刺激をもらったファンや選手、関係者は多いはず。私もその1人。これからの巨人にもエールを送りたい。

ヤマコウは和田健太郎の操縦力に期待した
ヤマコウは和田健太郎の操縦力に期待した

栄光の1番車を背負い、川崎G1全日本選抜に続きビッグ2戦目となる和田健太郎は、21年は上々のスタートを切った。奈良G3では落車の不運もあった。しかし、よく立て直したと思う。GPは伏兵だったのでそれほど緊張感もなく走れたと思うが、1番車は勝つことも求められる。その中で川崎G1で準優勝。展開が向いたからではなく、展開を呼び込んでいる印象だ。年始の和歌山G3、和田真久留の活躍は、健太郎がいなければ成り立たなかった。

初日特選は、野口裕史を目標にレースに臨む。玉野G3(広島代替)は1予で、今日も対戦する門田凌にうまく足を使わされて大敗したが、2日目からは負け戦といえどもレース内容は抜群だった。巨人の優勝した名古屋では、野口の同期・皿屋豊の走りもファンの心をつかんだ。2人は異業種から競輪界に飛び込んだので通じるものがあるだろうし、名古屋の走りは刺激になったはず。そこに健太郎の位置取りもプラスされるので、千葉ラインにも十分勝機はあると思う。初日は健太郎の操縦力を期待して本命に推した。(日刊スポーツ評論家)