GR賞はいいレースだった。各自力選手が自ら動いて好位を取ろうとし、落車明けの平原康多もタイミングを逃すことなく先行。平原をすかさずたたきにいった清水裕友も、郡司浩平と松浦悠士のゴール勝負も見応え十分だった。思い描くレースをしてくれるだけでファンは負けても納得する。勝者は1人しかいないので仕方ないがそこも意識して選手は走ってほしい。

ヤマコウは、余裕を取り戻した清水裕友が準決を突破すると読んだ
ヤマコウは、余裕を取り戻した清水裕友が準決を突破すると読んだ

準決11Rは、真杉匠を得た平原に展開有利となりそうだが、根田空史がどこまで先行にこだわるかは未知数だ。関東勢をすんなり駆けさせたら、平原で決まってしまうだけに、清水も野原雅也も、根田に期待する部分はあるだろう。ただ、そればかりになると後方に置かれてしまうのが、競輪の難しいところだ。真杉が逃げて、根田が仕掛けなくても、野原や清水は自分でたたきにいく気概はある。しかし、少しでも前にいたいのが本音のはずだ。

今の先行は、残り1周カマシが主流だから、初手の位置取りは非常に大事だ。平原を背負った真杉がそのレースをする可能性は低いので、根田が巻き返すのが打鐘からホーム。それなら、今節の真杉を根田がたたくのは難しい。関東ラインの後ろを取る選手が、平原に対抗できる。清水、野原、ともに調子がいいので甲乙付け難いが、車番がいいのは清水だ。

位置取りを含め、清水が復調したと判断したのは武雄G3からだ。勝ってレースに余裕が出てきた。松浦との連係もうまくかみ合ってきた。平原が少しでもちゅうちょすると、清水の出番は十分ある。(日刊スポーツ評論家)