準決は面白い。日本選手権という重みが、選手のやる気を引き出して、血相変えてレースに挑む環境を作り出す。こんな真剣勝負をファンの前でやらせてあげたかったと、あらためて思った。違反プレーは褒められないが、それは決勝に乗りたいため。落車と諦めない姿勢は、紙一重だといえるだろう。

決勝は真杉匠が乗ったので、平原康多が絶対有利といえる。ラインができる郡司浩平や清水裕友が、関東勢を出させてまくり狙いだと平原が優勝する。そうさせまいとするのはどちらだろう。私は清水だと思う。

清水のG1初優勝は、昨年の豊橋全日本選抜。松浦悠士の先行に乗ってのものだった。いわき平G2サマーナイトフェスティバルも松浦の番手から、新田祐大のまくりを差してV。昨年の平塚GPで、脇本雄太を苦しめにいったのも松浦だった。清水は「全日本選抜の優勝から納得できるレースが少なかったので、このまま終わっていくのかな」と思っていたらしい。

ヤマコウは松浦悠士が清水裕友の番手から抜け出すとみて本命だ
ヤマコウは松浦悠士が清水裕友の番手から抜け出すとみて本命だ

GPもサマナイも自分の納得できる調子ではなかった。清水が苦しい時、いつも支えていたのは松浦だったといえる。その松浦が番手に付く決勝で、清水は自分の力を出し惜しみすることなく挑む。関東勢を破るなら、私は松浦だ。

初のG1決勝で、欲のない真杉をたたくのは清水。番手の松浦は今節の動きがピリッとしないが、今年のG戦線の主役は松浦だった。ダービー王に輝く資格は十分ある。(日刊スポーツ評論家)