脇本雄太の連勝が止まらない。昨年のKEIRINグランプリ(GP)から全て長い距離を踏んで優勝。対戦相手が手も足も出ない状況だ。GPは新山響平が先頭の北日本勢を破り、和歌山G3は新田祐大の抵抗をしのいだ。対戦相手が少し劣った豊橋G3では、山口拳矢は後ろから押さえることすらできなかった。脇本は前受けすると、いつも2周半過ぎに誘導員を追い掛けずに距離を取り、後ろ攻めの選手を「おいでおいで」と前に行かせる。豊橋の決勝はそれがなかったから、後ろのラインは「もしかしたら突っ張るのかも…」と思い、脇本をたたくタイミングを逃したのだと思う。脇本が、少し変化技を加えただけで後ろのラインが動けなくなるのは、完全にのみ込まれている証拠だ。

特選12Rで「輪界1強」の脇本雄太が奈良バンクを席巻する
特選12Rで「輪界1強」の脇本雄太が奈良バンクを席巻する

和歌山G3は脇本が初日特選で、中団の新田がまくった上をまくった。これでその開催は勝負がついた。自力では誰もかなわないので、新田は決勝でイン粘りするしか勝機を見いだせなかった。豊橋G3の初日も、自力で対抗できるのは坂井洋しかいなかった。しかし、1角まくりで快勝。あの時点で豊橋G3の勝敗は決まった。

脇本が強過ぎるがゆえに、どんどん彼中心にレースが回る。今節、脇本を最も苦しめるのは新田だろう。トップスピードが高いことに加え、レースにめりはりが出て円熟味が増した。脇本が一番嫌な展開は、松井宏佑が先行して新田が3番手まくり。それでも脇本が1着に来るなら、今節も脇本優勝で動かないと思う。(日刊スポーツ評論家)