初日の別府は終始バンクが重く、上がりタイムはグレードレースには珍しく12秒台が多かった。

2段駆けのレースになると、さらに休むところがない。古性優作は「本当にきつかった」と言うものの、顔色が何も変わらないところにすごみを感じた。

逆に約2カ月休んだ森田優弥は、1着スタートだったので終始柔らかい表情が印象に残った。


ヤマコウが2予11Rで期待する新山響平
ヤマコウが2予11Rで期待する新山響平

2予は11Rの新山響平を取り上げる。

S班になって思うような成績を残せていない。初日のレースも、先行する北井佑季ラインの4番手を取りながら、ホームで仕掛けて、郡司浩平に合わされ7着だった。今の競輪は自在型が有利だから位置取りもしたいが、先行選手としての矜持(きょうじ)も忘れたくないと思わせる仕掛けだった。

デビューから先行選手として走ってきた。しかし、昨年の競輪祭で、新田祐大の後ろで初めてタイトルを取った。そこから新山は迷いに入ったように思う。

KEIRINグランプリまでは先行で良かったが、S班になって結果を求められると、無欲で走ることができなくなった。結果、勝ちみが遅くなり、位置取りに活路を見いだすものの、内に詰まって負ける悪循環にはまった。

今までのような先行では、S班としての期待に応えられないと思ったのだろう。これがS班のプレッシャーだ。自分の走りは何が強みだったのかを考える必要がある。

このレースは松井宏佑や谷口遼平がいて、位置取りだけを考えていると、7番手になる可能性がある。現状を打破するには、先行に戻すことが早道だろう。(日刊スポーツ評論家)