特選12R終了後、番組が出て取材エリアに下りると、ばったり不破将登と会った。

別に聞いてもないのに「明日は志田(龍星)と一緒ですよー。俺は2周行くつもりでいたのに、志田が『どうしても前を走りたい』と言うので、仕方なしに回してやりましたよ」と甘がみしてきた。

「強がるなて」と言うと、「幸二さん知らないんですか? 日本3大先行選手は、町田太我、真杉匠、俺ですよ」と言った瞬間に浅井康太が前を通った。その瞬間、不破の声が小さくなったのを私は見逃さなかった。日本3大先行選手の番手戦が楽しみだ。

ヤマコウは渡辺雅也の立ち回りに注目
ヤマコウは渡辺雅也の立ち回りに注目

不破相手にいらない時間を使ったあと、やっと渡辺雅也に会えた。父親(渡辺晴智)譲りで面構えがいい。「最近いいレースをするね」と声をかけると「自力を出さなきゃ、と思っていた時期があったが、父親から初めて褒められたレースが名古屋F1の初日でした。それで吹っ切れた」と力強く答えた。

そのレースは、伊藤慶太郎をフタして、先行する大谷靖茂を外並走からまくった。私も、渡辺はこのスタイルが合っていると思うので「自力にこだわっても、強い選手はたくさんいるので、とことん位置にこだわってもいい」と後押しした。

渡辺は7歳の時に、父親の静岡ダービー優勝を生で見た。「おやじは超かっこよかった。競輪選手になりたい」と思い、父親と同じ道を歩んだ。若手の売り出し方は人それぞれ。追走センスがいいのでこれからが期待できる。

2予9Rは犬伏湧也を相手にどう走るのかが興味が湧く。(日刊スポーツ評論家)