地元戦を大切に思うのは競輪選手だけではなくて、どんなスポーツ選手にも共通することなのだろう。プレッシャーに打ち勝ち、地元記念を何回も優勝する選手が超一流選手なのだと思う。

初日、不破将登が「選手紹介の時、緊張で足が震えてペダルにサンが入らなかった」と言う。「この話をしたら、(竹内)雄作と長尾(拳太)も同感してました」と力説した。

地元のプレッシャーに打ち勝つ話をしているのに、その3人なら、ただ「気が小さい」話になってしまう。志田龍星や橋本優己あたりなら説得力もあるのに…。準決まで進んだ竹内は、決勝を目指して頑張って欲しい。

ヤマコウは成長著しい準決12Rの犬伏湧也に注目
ヤマコウは成長著しい準決12Rの犬伏湧也に注目

2予の渡辺雅也は、想定とは違う走りだったが、素質の片りんはうかがえた。位置にこだわるなら、今、先行で一番強い犬伏の番手にこだわっても良かった。

それくらい犬伏の破壊力は未知の可能性を感じる。函館G3の2予は、前受けから引いて打鐘カマシ。先行態勢に入る伊東翔貴が駆けたので、自転車の出が悪かった。「このまま合わされるのか?」と思っても前をのみ込み、中本匠栄から逃げ切った。はたから見ると、後ろの選手を気にして力を調整しながら踏んでいるように見えた。

しかし、本人に聞くと「合わせられても自分のペースを乱さずに、同じペースで踏んでいる。それを覚えたら少々合わされても慌てなくなった」と、今の強さの根拠になっていると感じた。

「犬伏が本気でダッシュしたら誰も付いていけない」と阿竹智史が言うように、ペースを乱さない準決12Rの犬伏に注目したい。(日刊スポーツ評論家)

【ヤマコウの印】◎犬伏湧也 ○松浦悠士 ▲浅井康太 ☆菅田壱道 △山崎芳仁