準決11R終了後、阿竹智史がスタートの出遅れ、ダッシュ力のなさを嘆いた。
「野口(裕史)が後ろ攻めで、中団が一番いらんのよ。できれば前受けが良かった。(山田)庸平のようなレースがしたかった」。
そして「大石(崇晴)のダッシュはすごかった」と言うので、「そんなとこあったっけ?」と聞くと、「顔見せです」と言われてずっこけた。「盗塁王(父は元近鉄の大石大二郎さん)の片りんを感じました。あれは犬(犬伏湧也)よりダッシュがあったな」と続けるので「そこじゃねぇて!」と、思わずツッコミそうになった。
準決10Rの皿屋豊-浅井康太は、長尾拳太が先行して絶好の展開で決勝に進出した。レース後、皿屋は「あの展開で2着に残らないと…」とうなだれた。想定外のレースでソワソワして足がたまらなかったらしい。
逆に浅井は「楽な展開になって良かった」と、同じ展開でも感じ方が違う。長くトップにいる選手は、考え方がプラス思考だった。
決勝は浅井が前を回る。意外な並びだが、私はこれでもいいと思う。「先輩は後ろ」という固定概念はいらない。「先輩だから」とラインにこだわって逆に弱くなる場合もある。
「俺を差して優勝してみろ」の気概が後輩(年齢は皿屋が上だが)を育てる。そして浅井にとってもプラスになる。
戦法が同じような自力選手がそろい、レース展開は読みづらいが、それなら地元勢の「優勝を取られたくない」気持ちが1歩リードしている。(日刊スポーツ評論家)