女子ボートレーサー前原哉(23=岡山)が、産休明けからの復帰に懸命だ。昨年10月、丸亀デビューから約3年で初優出、初優勝を決めた。一気に注目を集めたが、突然あっせんが消えた。丸亀の直後に妊娠が分かった。

前原哉
前原哉

 「これからっていうタイミングだったし、ショックでした。でもすぐに復帰しようと開き直りました」とその時の心境を話す。6月29日に無事出産。1時間に1回は泣くという元気な男の子の育児に追われながらも筋トレを始め、体重も産休前の50キロに戻した。すでに子供を連れて児島ボート場にもあいさつに向かい、近日中に水面練習を再開する予定を立てている。

 前原はデビューから注目していた。父・前原雄大さんは、元競輪選手で現役時代に取材経験があった。S級でも鳴らし、目標がない時は競りも辞さない「番手勝負」を引退まで貫いた闘将だった。その父が「お前は絶対に向いている」とレーサーの道を勧めたほどなら、勝負根性のDNAを確実に受け継いでいると感じたからだ。

 近年はママさんレーサーの活躍が目覚ましい。今年1月は塩崎桐加が産休明けでいきなり優勝。4月の平山智加も復帰2節目で優勝した。かつて最強女子レーサーだった横西奏恵さんが魚谷香織に「子供を産んでからレーサーに戻ると世界が変わるよ」と産休復帰を後押しした話を前原に伝えた。「私もそんな世界を見てみたい。新しく背負うものもできたし、より集中力を身につけて臨めると思う。楽しみしかないです」。年内の児島参戦を目標に体力づくりに励む日々。復帰を心待ちにしている。

 ◆前原哉(まえはら・ちか)1995年(平7)1月23日、岡山県生まれ。115期生として14年11月の児島でデビュー。同期は仲谷颯仁ら。157センチ、50キロ。血液型O。