最近のミッドナイト(MN)競輪のチャレンジ戦でお気づきになったことはないだろうか。実は昼間のF2に比べて、113期の強豪が多くあっせんされているのだ。中には参加7選手中、在校順位ベスト10が5人いるシリーズもあった。彼らが決勝で対戦すると、当然激しいレースになる。戦っている方は大変だろうが、見ている方は面白い。JKA関係者も「MNは日ごろ競輪を見ていないファン層も多い。できるだけ、勢いのある選手を出す傾向にありますね」とあっせんの偏りを認めている。

記者にとってもありがたい。昔は東日本に期待の選手がデビューしても、人気の選手は東日本地区中心のあっせんになる。初めて取材するのはS級に上がってからというケースも多かった。しかし、今はデビュー間もない東日本の選手に接することができる。ただ、いいことずくめではない。

デビュー4カ月でのA2特昇率
デビュー4カ月でのA2特昇率

昔は別表のようにルーキーが勢いのまま特昇することが多かった。107期の吉田拓矢はデビュー4カ月でS級特昇を決めたほどだ。ところが、113期生は上位同士がつぶし合いをするため3場所連続完全Vの特昇は厳しい。

この流れは昨年から顕著だ。111期の松本貴治は南潤に決勝で連勝の芽を2回つぶされ、A2班特昇に10場所を要した。しかし昇班後は負けなし(落車1回)の5場所でS級特昇を決めた。松本は「チャレンジ戦の方が1、2班戦より厳しかった」と振り返る。

世代交代が進まない競輪界ではスター候補の育成が急務だ。先のJKA関係者は「ちょっとやりすぎて、刺激が強かったかもしれませんね」と話す。スター育成と魅力的なレースを提供することは、背反する問題ではないはず。今後の取り組みを注視したい。