中田竜太(29=埼玉)が逃げてGP当確-。全員が0台スタートでそろう中、インから冷静に先マイ。今年5度目、通算16度目、G1は4月丸亀周年に続いて2度目の優勝。ヤングダービー卒業年を見事に締めた。獲得賞金は5300万円を超えてランキング9位に上昇。年末のSG住之江グランプリ初出場へ、当確ランプをともした。2着争いは、2周1Mで2番手を走っていた片橋幸貴がターンマークに激突して転覆(妨害失格)。難を避けた仲谷颯仁が2着、大上卓人が3着に入った。

 中田竜太は、キャリア組らしい、大人の立ち回りで逃げ切った。優勝戦メンバーで唯一のG1ウイナー。残る5人が目の色を変えて攻めるのは分かっていた。「自分よりスタートを行く気の人が多く、遅れないスタートを行った」。仕掛けが全員0台でそろったのも織り込み済みだった。

 危機感が、今年の躍進につながった。昨年5、6月に出遅れ、フライングを続けて喫した。当時は目標を見失いかけ、メンタルの輝きも失った。

 分岐点は昨年10月、SG福岡ダービーだった。出場メンバーを見渡すと、埼玉支部からの参戦は桐生順平1人だけ…。「このままじゃいけない」。SGの舞台を目指すため、自分の思いを師匠の須藤博倫に激白した。「師匠と一緒に(ダービーを)目指そう」。そう決意してからの中田は昇竜の勢いを見せた。昨年12月以降のからつ周年(2着)から1月戸田周年(4着)まで、6連続優出をマーク。4月には丸亀周年でG1初制覇と一気にブレイク。勝率を稼いで、10月の平和島ダービー出場を決めた。

 今節のテーマは、優勝より賞金加算だった。「ヤングダービーに(来年から)出られないことは意識してこなかった。賞金の上積みだけ考えていた」。目標通り、賞金ランクはSGグランプリ出場当確ラインに入った。「気を抜かずにいきます。チャレンジャーなので。グランプリを目指して、自分らしくやります」。夢にまで見た1億円バトルへ、気負うことなく突き進む。【津波謙次】

 ◆中田竜太(なかだ・りゅうた)1988年(昭63)4月10日、福島県いわき市生まれ。104期生として09年5月の戸田でデビュー。13年9月の戸田で初優勝。今年4月の丸亀周年でG1初優勝。通算優勝16回。同期は妻の浜田亜理沙、松田大志郎、竹井奈美ら。167センチ、50キロ、血液型A。