34期オートレース選手候補生の入所式が11日、オートレース選手養成所(茨城・下妻市)で行われ、20人の選手候補生がオートレーサーへの第1歩を踏み出した。女子は関西大卒でメーカー研究職から異例の転身を図る早川瑞穂候補生(26)ら5人。男子はロードレーサーから転身する上和田拓海候補生(22)ら15人。養成は1日から始まっており、9カ月の訓練を経て、来年6月にデビューする。

早川候補生は関西大で化学生命工学を学びながら、体育会の女子ホッケー部で全国大会準優勝も経験した。卒業後はメーカーで、研究技術職として3年勤務。「幼いころからスポーツ選手で身を立てたかった」という夢は、一時中断していた。だが、その思いを諦め切れない。夢実現に向け、プロスポーツ選手の道をいろいろ探した。

まずはボートレーサーの兄尚人と同じ道を模索。だが、知人を通じてオートレーサーという職業を知った。この道に懸けよう-。34期の試験を受け、見事に合格した。

関西大卒業時には「何かの分野のスペシャリストになれるよう頑張ります」と記した。研究職からオートレーサーへ。分野こそ違えど、スペシャリストを目指す道は変わらない。

入所式前に偶然、NO・1オートレーサーの鈴木圭一郎と話す機会を得た。「負けないという気持ちをしっかり持つこと。それが大事」と助言をもらった。その言葉は胸に刻まれている。

「バイクに乗ることも初めて。1つ1つを大事に。しっかり覚えて、しっかり9カ月間でマスターして、思い残すことなくやり切って卒業したい」。養成所での抱負は力強かった。

憧れの選手として「女子は佐藤摩弥さん、男子は名字が同じで兄と年齢が近い早川清太郎さん」と2人の名を挙げた。体を動かす仕事で身を立てたい-。その目標に向かって養成所での9カ月間でまず、しっかり基礎を身につける。【木村重成】