19年のG1戦線の開幕第1戦「開設66周年記念G1全日本王座決定戦」が15日から芦屋で行われる。

松田大志郎にとって18年は8回の優勝と過去最高の結果を残し、飛躍の年となった。実力でクラシックの出場権も勝ち取ったが、あくまで本人は謙虚に受け止めていた。

松田 優勝を重ねてクラシックの出場権を得て、自信にはつながったけど、過信はしたくないです。考え方が変わったりとかはないですね。いいときもあれば悪いときもあります。優勝も運の要素も入っていると思う。

とはいえ、いつもいいエンジンを引いていたわけではない。不利枠でもしっかり結果を残したからこそ、この優勝数がある。たとえば18年5月芦屋で優勝した時の相棒は複勝率25・1%の10号機。平凡機だったが、調整を繰り返してレースができる足に仕上げた。

松田 整備力やペラ調整が僕の一番の強みです。鈴木広機(引退)さんに教えてもらったことが生きてます。レースでは毎走できることをやっているだけですよ。

結果を出してもおごらず、ただひたむきに努力を続ける。そういうストイックな選手だ。

松田 ストイックだとは周りからも言っていただけることは多いですね。人よりストイックにしないと上には行けないし、強い人にはかなわないんですよね。

目標として見据えるものも謙虚で現実的。ひたむきにレースと向き合うため、ビッグマウスも嫌う。

松田 目標を作るのが好きじゃないというか。負けず嫌いなのでレースには勝ちに行きます。でも走るときは人身事故にならないように、周りの選手にけがをさせないようにと思って走っています。

では松田を突き動かすものは何か、率直にぶつけると、責任感の強さがうかがえた。

松田 原動力は家族がいることですね。結婚してなくて家族もいなかったらここまで稼ごうとは思わなかった。加えて、他の業種でも稼いで養うことができるけど、ボートレースだとこんな僕でも応援してくる人がいることがありがたいんです。感謝しかない。この仕事をいろいろな面から支えてくださる方もいるわけですし、一番大事な感謝の気持ちを忘れないようにしている。

支えてくれる人や、ファンのため。そういう気持ちがあるからこそ、地元の芦屋はめっぽう強い。正月レースではフライングに散ってしまったが、その後も3連対を続けた。

松田 (5日目9Rでは)6枠だったけど、(1)(6)の2連単が4・6倍と低いオッズになっているのを見て、こんなに買ってくださる方がいるんだと思った。そのファンの方のために頑張らないと、と思って走りました。応援してくれる方が多い分、芦屋を走るときが一番のプレッシャーを感じてます。でも芦屋は育ててもらった水面だし、頑張ってファンのために走りたいと思っています。

地元G1初制覇という最高の結果を残し、ファンに恩返しといきたい。

◆松田大志郎(まつだ・たいしろう)1987年(昭62)12月5日、福岡県生まれ。104期生として09年5月の若松でデビュー。14年5月芦屋で初優勝。16年9月の常滑ヤングダービーでG1初制覇。同期には岡村慶太、中田竜太、竹井奈美らがいる。160センチ、53キロ。血液型A。