新田祐大(33=福島)が昨年2月の四日市全日本選抜以来となるG1優勝を果たした。4日制以上(単発を除く)のG1で7個目のタイトル。ラスト半周からの平原康多とのデッドヒートを制した。

残り200メートル。真横にまで迫ってきた平原に、新田は体を当てながら意地で踏み勝った。「すごくドキドキした。今でもドキドキしています」。レースを終えても興奮が冷めない。5年連続、単発を除き7つ目のG1制覇。来年に迫った東京五輪でメダルを目指すため、競輪の出場機会は限られる。今回がGPへラストチャンスだった。そして、こん身の番手まくりでSS班の座を死守した。

同地区の後輩・菅田との連係でつかんだタイトルだ。先頭を志願した菅田は「3年前の松戸オールスターの決勝がずっと引っかかっていた」と苦い思い出を明かす。新田の前ではなく後ろ回り。道中で離れ、2人とも着外…。積極先行で胸のつかえが取れた。

「これで、新田さんも東京五輪に集中できるんじゃないですか」と菅田が胸を張る。新田も「壱道の熱い気持ちがうれしかった。オールスターの決勝は選手もレースを見てくれている。北日本の若い子たちが今日のレースで感じてほしい」。後輩・菅田の熱い思いと、ラインで戦う“競輪のコク”。直接伝えられない他の後輩たちへ、メッセージを届けられた満足感があった。競技とは違う、競輪でこその勝利の喜びだ。

今後はGPを除き競技中心となる。まずは23日に開幕するジャパントラックCに出場。11月からW杯もスタートし、来年2月末からの世界選手権(ベルリン)の結果で、代表選考が行われる。「僕は五輪に行く予定。力がみなぎっている」。真夏の祭典からスポーツの祭典へと突き進む。【山本幸史】

◆新田祐大(にった・ゆうだい)1986年(昭61)1月25日、福島県会津若松市生まれ。05年7月函館でデビュー。G1は10年12月に単発のSSカップみのりで初優勝。その後15年日本選手権、オールスターなどを制する。自転車競技では19年世界選ケイリン2位(ポーランド)、19年アジア選チームスプリント優勝(インドネシア)などの実績がある。通算880戦303勝。通算獲得賞金は9億5281万9237円。172センチ、86キロ。血液型O。