日刊スポーツ新聞社制定第34回ボートレース年間三賞の表彰式が、東京の品川プリンスホテルでファン、関係者ら約150人を集めて開かれた。

2度目の殊勲賞を受賞した石野貴之(37=大阪)が、ファンと関係者が作る花道を堂々と歩いた。昨年は11月桐生チャレンジC、12月住之江グランプリ(GP)とSG連続V。殊勲賞ポイントで毒島誠を逆転した。GP初制覇を振り返り、「ファンの方の声援に圧倒されて、喜び切れなかったですね(笑い)」と照れた。

昨年12月のGP前検日。いつものように、家族が送迎する車中で、石野は武者震いした。「優勝するかもしれない-」。やまと学校(現ボートレーサー養成所)時代から、今に至るまで実際に何度も的中してきた予感が、見事に現実のものになった。「(殊勲賞の受賞は)光栄です。でも、昨年の記憶はだんだん、薄れてきている。常にリセット。また勝てるように頑張るだけです」と前を向く。

表彰式終了後、受賞者同士の歓談では5月のSGオールスターに話題が及んだ。中間発表1位の大山千広に、そっと金言を送った。

石野 謙虚な気持ちは忘れたらあかん。でもせっかく選ばれたら、ずぶとく走らなあかん。今(37歳)になって、やっと分かってきた。10年前の自分にそんな思いがあったら、もっと早く強くなっていたと思う。

頂点に立ったからこそ見えた境地を、さらりと伝える。その懐の広さに大山も感動した。横にいた毒島も「あんな話が聞けるとは思わなかった」と驚きの表情だった。

石野のGP連覇への道はすでに始まっている。23日からはG1多摩川周年に出走する。「5月に行われる住之江のオールスターで優勝を目指したい」。まず目指すのは地元SG連続V。おごることなく攻め続け、再びてっぺんを狙う。