稲垣裕之(43=京都)が通算7回目のG3優勝を飾った。逃げる村上博幸マークから番手まくりを放ち、G3では16年10月向日町以来4年ぶりのVをつかんだ。

一番驚いたのは稲垣だろう。ラインの先頭を回る選手の中で、村上の先行だけはないと誰もが思ったはず。打鐘前、元砂勇雪-椎木尾拓哉の3番手にいた村上が猛スパート。「(村上のお尻が)ピクッと動いた瞬間、行くんだなと思った」と稲垣。元砂、吉田敏洋の波状攻撃に合わせて稲垣が自力にチェンジした。

今回、6人を決勝に送り込んだように近畿の層が厚い。「みんなが何でもできる。その中で存在感を示すためにみんな悩んでいる。でも、切磋琢磨(せっさたくま)して全体がレベルアップしていかないと…。何しろ、ものすごい選手(脇本雄太)がいるんだから」とテーマを掲げた。

ここ富山は父の出身地。「おやじが一番喜んでいると思います」と最高の親孝行になった。【村上正洋】